2017年10月15日号
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artscapeレビュー

Aokid《KREUZBERG》(第12回グラフィック「1_WALL」展)

2015年05月15日号

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会期:2015/03/23~2015/04/16

ガーディアン・ガーデン[東京都]

Aokidが第12回グラフィック「1_WALL」でグランプリを獲得した。Aokidは10代でブレイクダンスの世界で活躍し、その身体性を活かして、コンテンポラリー・ダンスの分野で、いやその枠では収まりきれない独特のスタンスで、ダンスをつくり続けている。そのダンサーAokidにはまた別の才能があった。「1_WALL」でのグランプリというかたちで、今回それは評価された。ただ、彼のダンサーとしての才能とグラフィック(イラストレーション)の才能は、相補的なものではないかと僕は思っている。Aokidのダンスはまるでイラストのようだ。身体の重さに頓着しないで、まるでソフビの人形を乱暴に扱う子どものように自分の身体を扱う。その手法の一端は、ブレイクダンスに由来するのだろう。けれども、イメージはそうしたテクニックの幅を超えて自由に羽ばたく。Aokidのダンスは、だからあえていえば二次元的なのだけれど、対して今回の彼のグラフィックでの試みは、イラストを「立てかける」といったもので、これもあえていえば二次元を三次元に化けさせるという試みだろう。イメージに物理的な居場所を与えたというべきか。すると、彼のイメージ宇宙は、物理空間へと一歩踏み出す。これを、20世紀のアメリカの美術史をコンテクストにして整理することは容易いだろうが、むしろそうした美術史をかすめつつも、そこからさらに日本の「つい立て」や「ふすま」などのコンテクストへとスライドできる柔軟な広がりにこそ、注意を傾けるべきだろう。ちっちゃいものに向けたささやかな遊び心。そうした遊び心が、建築的な思考へと突き進み、さらに街作りへと思考が展開する。Aokidは何年も前からAokid Cityというイベントを行なっているが、彼が用いる「City」の意味合いが、実際こうした「立てかける」を発端に、イメージが自由に三次元化して踊りだすという発展的な状況を予示していたのだとわかってくる。ファンタジックなイメージ世界とリアルな物質の世界とを自由に柔軟に往還していく彼の創作は、まだまだこれから何倍もフレキシブルな広がりを示すことだろう。

2015/04/14(火)(木村覚)

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