2019年08月01日号
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artscapeレビュー

須田一政「SOLO」

2015年08月15日号

会期:2015/06/27~2015/07/18

成山画廊[東京都]

一時体調が悪かった須田一政の「復活」は、昨年あたりから続いていて、止まる所を知らない。各地で開催される個展の数だけでも相当のものだし、旧作だけでなく新作も次々に発表している。創作意欲が以前にも増して高揚してきているようだ。
今回の東京・九段南の成山画廊での「SOLO」展も、2014年に撮り下ろされた新作16点による展示である。DMにも使われた、画廊主の成山明光氏を撮影したポートレートが、まず強烈な印象を与える。諏訪敦が描いた自分の肖像画を前に煙草をくゆらす姿をストロボで写し止めた写真だが、画面全体に漂う魑魅魍魎が跋扈するような不穏な空気感がただ事ではない。他にも靖国神社や神保町など、神田界隈の写真が多く目についた。須田自身が神田の出身(1940年生まれ)なので、その辺りの地霊に促されてシャッターを切っているようにも見えてくる。この世ならざる異界の住人たちに取り憑かれるような気配は、既に須田の初期の写真から色濃かったのだが、それがさらに強まっているように思えてならないのだ。
会場には、まだタイトルも決まっていないという、未発表のカラーのスナップ写真も展示してあった。サービスサイズにプリントして構想を膨らませている段階だが、こちらも面白くなりそうな予感がする。モノクローム中心だった須田の作品世界に、風穴が開きはじめてきているのだろうか。

2015/07/09(木)(飯沢耕太郎)

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