2019年10月15日号
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artscapeレビュー

《写真》見えるもの/見えないもの #02

2015年08月15日号

会期:2015/07/13~2015/08/01

東京藝術大学大学美術館陳列館[東京都]

東京藝術大学美術学部写真センターを中心とする実行委員会が主催する「《写真》見えるもの/見えないもの」展は、2007年以来8年ぶりの開催になる。ただ、その前身といえる「写真で語る」展が1988~95年に4回にわたって開催されているので、25年以上の歴史を含み込む展示となっていた。
東京藝術大学写真センターは1980年代以来、写真表現の「アート化」の一翼を担って、ユニークな写真作家を輩出してきた。今回の展覧会には、佐藤時啓、鈴木理策、今義典、佐野陽一、下村千成、塚田史子、永井文仁、野村浩、村上友重、安田暁といった、写真センターにかかわりを持つ教員、スタッフが、クオリティの高い作品を出品していた。また韓国のArea Park、アメリカ在住のOsamu James Nakagawa、中国と日本のカップル榮榮&映里という「海外にベースをおきながら。日本をテーマとした作品を発表してきたアーティスト」が加わることで、より重層的な、広がりのある展示が実現した。
「写真で語る」の頃から本展を見続けている筆者にとっては、とても感慨深い展示だった。かつては、写真をアート作品として制作・発表すること自体に、乗り超えなければならないハードルがあったのだ。それが四半世紀を経過して、むしろこの種の展覧会はあたり前になり、クラシックな趣さえ呈するようになった。さらに1990年代半ば以降は「デジタル化」というもうひとつのファクターが加わり、「新たに生まれたデジタル技術の様々な可能性とともに、現在における「写真」を再考する必要」が生じてきた。25年の歴史をもう一度ふりかえりつつ、それぞれの写真作家の未来像を提示していく時期に来ているということだろう。

2015/07/14(火)(飯沢耕太郎)

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