2019年11月15日号
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artscapeレビュー

おとなもこどもも考える ここはだれの場所?

2015年08月15日号

会期:2015/07/18~2015/10/12

東京都現代美術館[東京都]

「このまっしろな空間は、わたしたちの想像の助けがあれば、どんな場所にだってなることができます」と書いてあるが、図らずも美術館がどんな場所であるかを議論する場になってしまった。出品はヨーガン・レール、おかざき乾じろ、会田家(会田誠、岡田裕子、会田寅次郎)、アルフレド&イザベル・アキリザンの4組。ヨーガン・レールが昨年亡くなったのは知らなかったが、晩年は石垣島に住んでいたという。その石垣島の海岸で拾い集めたゴミを使って美しい照明オブジェを制作。トニー・クラッグと藤浩志を合体させたような作品だが、本人は別に現代美術の文脈で評価してもらおうと思っていたわけではないだろう。おかざき乾じろは「子どもしか入れない美術館」を制作。ぼくはたまたま監視員がいなかったので入ってしまったけど、内覧会といえども大人は入っちゃダメなんだそうだ。内部には子どもはおらず(内覧会だもんね)、同館のコレクションのホックニーやスミッソンらの作品が何点か飾られていた。次の会田家の部屋は暗く、インスタレーションやら映像やらでにぎやか。天井から「文部科学省に物申す」と題した巨大な檄文が垂れ下がり、壁には首相に扮した会田が「日本は鎖国すべき」とかヘタクソな英語で演説する姿が映し出され、奥では会田本人が寡黙になにやらこしらえている。よくやるなあと思ったが、まさか美術館側から横槍が入るとはね。そもそも会田を選んだらどうなるか、ある程度想像がつきそうだし、覚悟もしておくべきだったし、なにをいまさらって感じ。まあ結果的に動員が増えたうえ、「ここはだれの場所?」って「おとなもこどもも考える」ことになったから、美術館は会田家に陳謝・感謝しなければならない。

2015/07/17(金)(村田真)

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