2019年10月15日号
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artscapeレビュー

グレート・ザ・歌舞伎町写真展

2015年08月15日号

会期:2015/07/25~2015/08/12

Bギャラリー/トーキョーカルチャートby ビームス[東京都]

何年か前から、「グレート・ザ・歌舞伎町」という真面目なのかふざけているのかよくわからない名前を、雑誌等で見かけるようになった。クリアーな切り口の、面白い写真が多いので気になっていたのだが、今回の展覧会でようやく彼が何者なのか、その全貌が見えてきた気がした。新宿・Bギャラリーでは、200点余りのプリントが壁にびっしり並び、原宿・トーキョーカルチャートby ビームスでは、大判プリントを中心の展示だった。それとともに、バイブルっぽい装丁の全432ページの写真集『グレート・ザ・歌舞伎町写真集』(デザイン・町口景)も刊行されている。
見ながら感嘆したのは、被写体をキャッチするアンテナの幅の広さと感度のよさ、そして抜群の行動力と編集能力だ。皇居の一般参賀、全身入れ墨の男女の集会、ネバダ州のイベント「バーニングマン」、ダライ・ラマ法王、反原発デモ、富士山、靖国神社、原発事故現場、北朝鮮のマスゲーム等々、次々に目の前で繰り広げられる場面を見ていると、現代社会のパノラマをめざましい速度で見せられている気分になってくる。「ワシが面白いと思った場所に行って、会いたいと思った人に会って、撮る」というストレートな思いが貫かれていて、「見たい」、「見せたい」という欲求が、空転することなく撮るエネルギーに転化しているのだ。
見ていて思い出したのは、篠山紀信の『晴れた日』(平凡社、1975年)である。篠山が1974年5月~10月に『アサヒグラフ』に連載したシリーズをまとめたこの写真集と同様に、「グレート・ザ・歌舞伎町」の作品からも、時代を見尽くしてやろうという疾走感が気持ちよく伝わってくる。雑誌メディアの勢いがなくなっているにもかかわらず、あえてプライヴェート・フォト・ジャーナリズムの原点回帰という難しい仕事にチャレンジしている心意気にワクワクさせられた。

2015/07/27(月)(飯沢耕太郎)

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