artscapeレビュー
ディン・Q・レ展:明日への記憶
2015年08月15日号
会期:2015/07/25~2015/10/12
森美術館[東京都]
1968年にカンボジアとの国境近くのベトナムに生まれ、10歳のときポルポト派の侵攻から逃れるため渡米したという経歴が、アーティストになった彼の作品を決定づけている。祖国の伝統的なゴザ編みの手法を借りて、写真を裁断してタペストリー状に編んだ「フォト・ウィービング」シリーズで注目を浴びる。ベトナム人が自作したヘリコプターと映像を組み合わせた《農民とヘリコプター》、枯れ葉剤散布により生まれた結合双生児のための産着や人形などからなる「傷ついた遺伝子」シリーズ、ベトナム戦争に従軍した画家によるのどかな風景の戦場スケッチなど、ほとんどすべてがベトナム戦争にまつわるもの。ネタにこと欠かないともいえるが、ひとつのネタから免れないともいえる。
2015/07/24(金)(村田真)
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