artscapeレビュー
事物──1970年代の日本の写真と美術を考えるキーワード
2015年08月15日号
会期:2015/05/26~2015/09/13
東京国立近代美術館[東京都]
「もの」「物質」「事物」がキーワードだった70年代の美術と写真の小特集。当時、破壊的な影響力を及ぼした中平卓馬の『なぜ、植物図鑑か』をぼくが文庫で読んだのはつい2、3年前のことだが、一読「これはもの派論ではないか」と勘違いしたほど、美術家と写真家(のごく一部)の思想・心情は接近していたように思う。出品は中平のほか、70年の「人間と物質」展を撮った大辻清司の写真、高松次郎の「単体」シリーズ、榎倉康二の写真、当時のカタログや写真雑誌など。いま、それこそ70年代の標本か図鑑のようにこれらの作品を見せられて、若い人たちはどう思うんだろう。やっぱり死ぬほどつまらないと思うんだろうか、それともつまらなさが新鮮に感じられるとか。
2015/07/03(金)(村田真)