artscapeレビュー
2017年04月15日号のレビュー/プレビュー
ガエ・アウレンティ《カタルーニャ美術館》
[スペイン]
ガエ・アウレンティが改修を手がけた《カタルーニャ美術館》へ。教会から剥がした壁画を空間インスタレーションのように展示するロマネスクのコレクションはすごい。巨大な古典主義建築の内部にロマネスクとゴシックを挿入するプログラムゆえに、様式の矛盾を調停する入れ子建築的なリノベーションが興味深い。カタルーニャ美術館では企画展「INSURRECCIONS」を開催し、物理的なレベルから社会・政治レベルまで、蜂起、反乱などに関するアートを紹介する。
2017/03/29(水)(五十嵐太郎)
《バルセロナ・パヴィリオン》
[スペイン]
ミースの《バルセロナ・パヴィリオン》をお昼と日没前の二度、見学した。結局、別の日にも午後に訪問したので、合計三度、異なる時間帯を体験したことになるが、一見、即物的なモノでつくられたシンプルな構成だけど、ガラス、石、水、風、緑などによって、驚くほど複雑なリフレクションの現象が起き、時間と共に変化し、訪れるごとに発見が増え、虚像が何重にも出現する幽霊みたいな建築である。実際、再建されているので、一度死んだ建築だが。
写真:左上3枚=12時、左下2枚、右上1枚=16時、右下3枚=19時
2017/03/29(水)(五十嵐太郎)
パウロ・モンテイロ展「The outside of distance」
会期:2017/03/18~2017/04/22
小山登美夫ギャラリー[東京都]
100号を超す大画面もあるが、よくある抽象画にしか見えない。むしろ小さければ小さいほど独自性を発揮している。キャンバスに塗った絵具をペインティングナイフでこすりとってキャンバスの縁で拭いとったり、一辺10センチ以下の小さなキャンバスや長さ数センチの角材の縁に、絵具をなすりつけるように盛ったり。つまり絵を描くときのクセやマナーを作品化しているようにも見える。見た目は色気のある菅木志雄みたいな。
2017/03/30(木)(村田真)
三嶋りつ恵 星々
会期:2017/02/18~2017/04/01
シュウゴアーツ[東京都]
下から白色光を発する展示台の上に、10数個の透明なガラス作品が置かれている。どれも水飴のようなゆるやかな曲面を見せる手づくりの造形だが、よく見るとすべて穴というか凹型をしているので「器」であることがわかる。透明なので、まるでクラインの壷のようなトポロジカルな錯覚に陥りそう。奥の部屋には、高さ10センチほどのガラス玉をブランクーシの「無限柱」のごとく垂直に積み上げた連作が並んでいる。これもよく見ると三方が膨れた楕円球で、ガラスというより凸面鏡のように外界を奇妙なかたちに映し出す。これは不思議。
2017/03/30(木)(村田真)
五木田智央「Holy Cow」
会期:2017/03/18~2017/04/15
タカ・イシイギャラリー[東京都]
白黒のガッシュで人物と花らしき形象を描いている。わりと人物らしい絵もあるが、顔や身体の一部を塗りつぶしていたり、空白にしていたり。一方の花は一部が目や舌になっていて、ある意味これも人物画かもしれない。
2017/03/30(木)(村田真)