2019年10月01日号
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artscapeレビュー

2012年08月15日号のレビュー/プレビュー

ZINE/ BOOK GALLERY 2012

会期:2012/07/01~2012/08/31

宝塚メディア図書館[兵庫県]

昨年からスタートした手づくり、あるいは自費出版の写真集を一堂に会する「ZINE/ BOOK GALLERY」が、今年も兵庫県宝塚市の宝塚メディア図書館で開催された。今年は応募総数123点、そのうち66点が入選作品として、さらに昨年の応募者を中心に28点が招待作品として会場内に展示された。昨年にくらべると、かなりクオリティが高くなっている。また、そのうち44点は実際に会場内で販売された。ZINEの愉しみのひとつは好きな本を購入できるということなので、これもとてもよかったと思う。
7月22日には、飯沢耕太郎、綾智佳(The Third Gallery Ayaディレクター)、堺達朗(Boos DANTELION代表)、寳野智之(MARUZEN & ジュンク堂梅田店芸術書担当)を審査員として、出品作からグランプリと個人賞を決める公開審査・公表会も開催された。ちなみにグランプリに選ばれたのは京都造形芸術大学在学中の22歳の若い写真家、石田浩亮の『ZINE(題名なし)』。
友人たちのカラフルなポートレートのシリーズだが、勢いのあるカメラワークと、テンポよく写真を並べていくレイアウトのうまさが高く評価された。僕が個人賞(飯沢賞)に選んだ、くたみあきら『ソファを運ぶ』もそうなのだが、ZINEにはやはり一般的な写真集とは違う独特の表現領域があると思う。思いつきをどんどん形にしていくスピード感、用紙の選択やデザイン、レイアウトなどの自由度の高さなど、ZINEならではの面白さをもっと大胆に追求していってほしい。こういうイベントの積み重ねから、いい作家が出てきてほしいものだ。

2012/07/22(日)(飯沢耕太郎)

栗原健太郎+岩月美穂 / studio velocity 「植物の生態系が環境によって形をかえるように建築をつくる」展

会期:2012/07/21~2012/08/05

愛知淑徳大学 長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム[愛知県]

愛知淑徳大学の授業プログラムで、スタジオ・ヴェロシティの展覧会が開催され、オープニングトークに出席した。展覧会は、模型やパネル、インスタレーションを駆使し、想像以上に、大がかりな個展である。通常はギャラリー間の巡回展というかたちをとるが、今回は初めて作家とともに展覧会をつくることになり、結果的に良い教育になっている。

2012/07/22(日)(五十嵐太郎)

アートピクニックVol.2 呼吸する美術 breathing art

会期:2012/06/09~2012/07/29

芦屋市立美術博物館[兵庫県]

日常生活にあふれている「美術」との出会いをテーマにした展覧会で、チラシには「現代美術の作家、美術教育を受けていない、または障がいがあるとされる表現者など様々なフィールドで活躍する作家11名の作品を紹介」と記されていた。アール・ブリュット(アウトサイダー・アート)とされる作品を多く展示紹介した内容。エントランスホールに入ると、まず美術家の山村幸則の映像作品《芦屋体操第一》に迎えられる。山村親子が全身タイツといういでたちで、芦屋の市木・クロマツに扮し緑色のポンポンを手に体操しているのだが、山村が芦屋の名所として選んだ十カ所を背景にしたこの映像の前で一緒に体操すると、この体操に因んだ絵はがき作品《芦屋深呼吸十景》のなかから好きなものがもらえるというオマケもあった。堀尾貞治が“1日1色”として長年さまざまなモノに色を塗ってきた《あたりまえのこと(色塗り)》111点が壁面いっぱいに展示された2階スペースは、窓ガラスに描かれた白いドローイング《あたりまえのこと(その場所で)》もダイナミックで館の外からも目立って見えた。展示室では絵の具のドットがキャンバスを埋め尽くした森本絵利の作品、拾った人形などで作ったカラフルな帽子をかぶって街を歩く“帽子おじさん”こと宮間英次郎が神戸を歩く記録映像、一見模様のような形状をB5判の紙に鉛筆で書き込んだ戸來(へらい)貴規の「日記」など、総数は多くはないが、それぞれの人たちの生活や自然な呼吸のリズムが伝わってくるような心地よさを感じる内容だった。


芦屋市立美術博物館の窓ガラスにドローイングした堀尾貞治《あたりまえのこと(その場で)》が外からも見える

2012/07/24(火)(酒井千穂)

第38回釜山美術展

会期:2012/07/20~2012/08/19

釜山市立美術館[韓国]

家族で海外旅行、というとゴーセーだが、もっとも近い釜山なら国内旅行より安上がり。しかも釜山といえば隔年で国際展(釜山ビエンナーレ)が開かれる文化都市でもある。今年はビエンナーレの開催年であるのだが、残念ながら展覧会は9月からで、その反動というべきか、この時期アートは街から一掃されている感じ。そもそも釜山は人口340万人を超す大都市にもかかわらず、目の前に海水浴場が広がる観光地なので、夏はリゾート気分全開なのだ。だから家族で来たんだけどね。しかし唯一の美術館である釜山市立美術館でも現代美術はお呼びでなく、全館を使って公募団体展みたいな「釜山美術展」しかやってなかった。これは絵画、彫刻、デザイン、書などを集めたもので、ジャンル分けも作品傾向も日展や二科展とよく似ている。近年の韓国の文化政策は急進化を遂げていると聞いていたが、やっぱりこんなものもまだやってるのね。街のギャラリーものぞいてみたけど、いまはリゾート客向けなのか版画や小品展しかやってなかった。

2012/07/24(火)(村田真)

朝鮮通信使歴史館

朝鮮通信使歴史館[韓国]

凡一洞(ポミルドン)近くに最近できたばっかりという新しい歴史館。ここは江戸時代に朝鮮から12回にわたって派遣された通信使について理解するための場所で、BankARTが「続・朝鮮通信使」プロジェクトを進めているので訪れてみた。従来の博物館のようにカビ臭い遺物を並べるのではなく、CGアニメや3D映像などのマルチメディアを駆使して子どもにもわかりやすく伝えようとの意志が感じられる。とはいえ、そもそも朝鮮通信使なるものに関心がないうちのガキどもには猫に小判か。本来の機能を無視して映像のボタンをピコピコ押して遊んでる。もう行くぞ。

2012/07/25(水)(村田真)

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