artscapeレビュー

high & dry:田中和人展

2014年12月15日号

会期:2014/11/14~2014/11/30

Gallery PARC[京都府]

花瓶の花に光を当てて壁に映る影をペンでなぞり、光源の角度を変えながらそれを繰り返し、残った壁を撮影した美しい作品「shadow traces」や、金箔を通して森を撮影した「GOLD SEES BLUE」など、久しぶりの個展では15ほどのシリーズから100点以上の作品が展示された。アイディアの数もさることながら、写真と別の物や色彩などを組み合わせた作品や、目の前の写真と映っているものとの間にプロセスが存在する作品が多い。このように解説すると、実験的な側面が前に出てしまうが、最終的な平面表現の美しさとともに見えてくるのは、そもそも身体を使った表現としての美しさなのではないかと思ったり。
そういえば、彼は近年、2012年「アブストラと12人の芸術家」や2014年「ニュー・インティマシー 親密すぎる展覧会」などの展覧会の企画も行うなどディレクターとしての手腕も発揮しているが、これも身体的。「アイデアはまだまだたくさんある」という彼の言葉が印象的だった。

2014/11/14(金)(松永大地)

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