artscapeレビュー
岡本光博「マックロポップ」
2014年12月15日号
会期:2014/10/25~2014/11/22
eitoeiko[東京都]
青森県立美術館学芸員の工藤健志キュレーションによる、東京では21年ぶりの個展。なわけで東京では岡本光博というと、有名ブランドのバッグの生地を使ってバッタのかたちに縫製した「バッタもん」でLV社と小競り合いを繰り広げたり、京都にアートスペース「クンストアルツト」を開いて若手作家を支援したり、なんとなく「社会派」みたいなイメージがあるが(ぼくだけかもしれないが)、この個展を見る限りすがすがしいほど「ふざけた野郎」だ。青森県立美術館から巡回中の「美少女の美術史」展にも出ていた内藤ルネ風のイチゴを散らせた女子パンティを思わせる逆三角形の絵をはじめ、女の子の縮れ毛が入ってる《まんげ鏡》、「バックします」の警告音を聞きながら鑑賞する後背位の絵、自称「マグナム」のイチモツを上から目線で撮ってプリントしたネクタイ、針が6時を指すと同心円に毛の生えたマ○コ印になる時計など、基本的にドエロの下ネタばかりで安心した。もちろん社会風刺的な作品もあるけれど、正義より悪戯を、「白い偽善より黒い偽悪」(工藤健志)を重んじる。「マックロポップ」たるゆえんである。
2014/11/01(土)(村田真)