2019年11月15日号
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artscapeレビュー

フェルディナント・ホドラー展

2014年12月15日号

会期:2014/10/07~2015/01/12

国立西洋美術館[東京都]

これだけまとまってホドラーを見るのは初めてのこと。自然の景色なのにまるで「左右対称」の号令をかけられたような奇妙な風景画や、独自のリズムでモチーフを繰り返す「パラレリズム」の集団人物像など約100点の展示。初めは土産物用の風景画家から出発し、真逆ともいえる象徴主義に行きついたという画業も、ヨーロッパの屋根裏ともいうべき(いわないか)スイスに生涯とどまって制作したという経歴も、ローカルな場所にこだわることでグローバルな世界に突き抜ける例として興味深い。世代的にはクリムトあたりに近いが、そういえばクリムトも装飾職人から出発し、ヨーロッパの辺境(ウィーン)で生涯をすごした点で似ていなくもない。美術史はたまにスイスとかオーストリアとかベルギーといった小国から、瞠目すべき画家を生み出す。なによりうれしいのは、油絵の醍醐味である豊かな筆触を堪能できたこと。

2014/11/28(金)(村田真)

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