artscapeレビュー
奇想天外!浮世絵師歌川国芳の世界
2014年12月15日号
会期:2014/10/24~2014/11/24
美術館「えき」KYOTO[京都府]
幕末期に活躍した浮世絵師、歌川国芳。人が集まって顔を形づくっている寄せ絵、擬人化された金魚や猫が登場する絵などのユーモラスな代表作はよく知られている。それらの作品を含め、武者絵、戯画、美人画、風景画、肉筆画など、155点が展示された。人間、妖怪、クジラ、猫や魚類などの数々のモチーフも、描かれたそれらのシーンも愉快なものが多いが、今展で私が何よりも感動したのはダイナミックで斬新な構図。圧倒的な迫力を感じるいくつもの作品に目を奪われた。特に金太郎が大きな鯉を両手で持ち上げている《坂田怪童丸》は、水しぶきが上がる瞬間の表現や、足を踏ん張って鯉を掴む怪童丸の表情、鯉が跳ね上がる躍動感が凄い。展示のボリュームもさることながら、国芳の想像力と表現力、鋭い洞察力を思い知った見応え充分の展覧会だった。
2014/11/12(酒井千穂)