artscapeレビュー

2013年04月15日号のレビュー/プレビュー

小寺絵里 展「かんたんなまほう」

会期:2013/05/07~2013/05/19

ギャラリー揺(ゆらぎ)[京都府]

5年ぶりとなる小寺絵里の個展。絵画作品とともに、蟹の甲羅(本物)やふとんの白いシーツで「見立ての風景」がインスタレーションされた同ギャラリーでの前回の発表は、自由な想像力と繊細な感性、ユニークな視点があちこちに感じられるたいへん魅力的な展示だった。今展のタイトルには、「大きくなったら簡単な魔法くらいなら使えるかもしれない」という夢や希望を持って生きてほしいと願う、2年前に誕生した我が子への思いが込められているのだそう。水彩画のほか、庭と和室の展示空間全体を使ったインスタレーションが発表される予定。時を経て制作環境も変わった小寺の新作が楽しみだ。

2013/04/15(月)(酒井千穂)

カタログ&ブックス│2013年4月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

キャパの十字架

著者:沢木耕太郎
発行日:2013年02月15日
発行所:文藝春秋
サイズ:四六判、336頁
価格:1,575円(税込)

若き日、ロバート・キャパの半自伝作品『ちょっとピンぼけ』を読んだ沢木耕太郎さんは、〈見るだけにすぎない〉傍観者として彼に強いシンパシーを持ちました。以来、キャパに関心を持ち続け、その伝説に包まれた出世作「崩れ落ちる兵士」の謎を解き明かすことが積年のテーマとなったのです。スペインをはじめ、世界各地で数度にわたる取材を敢行、その結果、驚くべき地点に立っていることに沢木さんは気づきます。キャパとその恋人、ゲルダ・タローが遺した物語とはーー。渾身のノンフィクション。(IH)
文藝春秋サイトより]


地域を変えるミュージアム

編著:玉村雅敏
著者:場づくりマーケティング・コンソーシアム
発行日:2013年04月
発行所:英治出版
サイズ:A5変判、320頁
価格:2,310円(税込)

人がつながり、アイデアがひらめき、まちがもっと元気に、クリエイティブになる。そんな場となり、みんなに嬉しい変化をもたらしているミュージアムがある。藁工ミュージアム(高知市)、せんだいメディアテーク(仙台市)、星と森と絵本の家(三鷹市)、津金学校(北杜市)、理科ハウス(逗子市)……全国各地から厳選した30事例を豊富な写真とともに多角的に紹介。見て・読んで楽しいだけでなく、まちづくりや場づくりのヒントが一杯の一冊です。
英治出版サイトより]


新宿学

編著:戸沼幸市
著者:青柳幸人、高橋和雄、松本泰生
発行日:2013年02月26日
発行所:紀伊國屋書店
サイズ:A5判、269頁
価格:2,310円(税込)

江戸時代の新場と遊郭、玉川上水、大名屋敷が、新宿発展の原点だった。 一日350万人の乗降客を誇る世界最大のターミナル駅を中心に、新宿のこれからを展望する。図版90点・「淀橋・追分・御苑,散策大路・散策小路めぐり」まち歩きガイド付。江戸の宿場町「新宿」のまちの今昔そして「未来図」を、土地利用、都市計画の要素も視野に入れながら、様々な切り口で明らかにする。江戸時代の宿場町として誕生以来、時代を先取りして発展してきた「新宿」のまちの今昔そして未来を、地理地形、街道、遊郭、大名屋敷、上水道、鉄道とターミナル、老舗、歌舞伎町、西口高層街など、土地利用、都市計画の要素も視野に入れながら、様々な切り口で明らかにする。新宿再開発による、緑あふれる「淀橋・追分・御苑 散策大路・散策小路」の実現も提唱。
紀伊國屋書店BookWebサイトより]


吉本隆明

著者:吉田純
発行日:2013年02月27日
発行所:河出書房
サイズ:220×252mm、128頁
価格:3,990円(税込)

戦後思想最大の巨人をもっとも長期にもっとも近くで撮り続けた写真家による肖像を没後一年に集成。生涯市井にあったその思考と生活の現場を刻印する記念碑的出版。序文=吉本多子。
河出書房サイトより]


虚像の時代 東野芳明美術批評選

編者:松井茂+伊村靖子
著者:東野芳明
発行日:2013年04月17日
発行所:河出書房新社
サイズ:四六判、360頁
価格:3,675円(税込)

ネオ・ダダ、ポップアート、デザイン、建築、マクルーハンなどの最新動向を紹介し、戦後の日本美術を拡張した批評家、東野芳明が、1960年代に様々な媒体に寄せたスピード感溢れる批評を収録した。東野芳明というと、マルセル・デュシャンの研究者という印象もあるが、本書では、現代的な観点から、評論をセレクトしている。特に、同時代の芸術状況をメディア論として捉えようとしたテキストや、日記体による同時代の作家達とのやりとりなど、生中継のような批評のあり方に注目して欲しい。また、この時代を共に歩んだ建築家・磯崎新が解説を執筆している。

2013/04/15(月)(artscape編集部)

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