2022年05月15日号
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artscapeレビュー

2013年11月15日号のレビュー/プレビュー

あいちトリエンナーレ2013 ビル・モリソン 映像プログラム「トリビュート・パルス」

会期:2013/10/13

愛知芸術文化センター12階 アートスペースA[愛知県]

映像プログラムのビル・モリソン「トリビュート・パルス」は、劣化した古い映画フィルムをデジタル技術で復活させ、画像の乱れをそのまま見せる。志賀理江子の写真にも通じる、どこか恐ろしげな、生々しいメディアのモノ性を強く感じさせる、めくるめく映像体験だった。だが、最終パートは、それまでとはまるで違うものとなり、水害に襲われた映像を見せるという、驚くべき展開だった。

2013/10/13(日)(五十嵐太郎)

NAKAYOSIな1日店長DAY!!!! 泉太郎「眼鏡狩りまでのカウントダウン10:胡瓜大根」

VISITOR CENTER AND STAND CAFE[愛知県]

長者町のビジターセンター&スタンディングカフェの一日店長を泉太郎が務めた。ライブで似顔絵を描くイベントをやっていたのだが、これがすごい技である。100%彼が描くのではなく、その辺の雑誌の束から素早く下地になる顔写真を探し、それに少し加筆するだけで、個別の似顔絵になってしまう。イメージの類似を発見するスピードと、即興的な観察眼の鋭さに感心した。

2013/10/13(日)(五十嵐太郎)

谷山恭子 展「Perspective」

会期:2013/10/05~2013/10/27

プラザギャラリー[東京都]

壁にモノクロの航空写真を入れた鉄のボックスが並び、写真をおおうガラス面に緯度と経度が記されている。これは、このプロジェクトに参加した人たちに自分にとっての大切な場所をインタビューし、それをグーグルマップで検索してその画像を撮影したもの。会場にはインタビューをまとめた冊子が置かれ、その場所にまつわるエピソードが読めるようになっている。インターネットからデータを引用し、匿名の個人史と重ね合わせる手法は鮮やかだが、逆に、こうして個人のおぼろげな記憶や過去の居場所までが特定されてしまうことに、ある種の感慨と恐ろしさも覚える。そのことも含めて考えさせる作品だ。

2013/10/14(月)(村田真)

戸田裕介「銀の微塵のちらばるそらへ──fragile VI」

会期:2013/09/07~2013/10/27

トーキョーアートミュージアム[東京都]

天井の高い奥まったところに、高さ5メートルほどの巨大なキノコがそびえ立つ。黒い鉄の曲面をつなぎ合わせてモコモコさせた彫刻で、キノコというよりキノコ雲。雲なのに鉄でできている。これはアッパレ! でもこの後どうするんだろう。モノがモノだけに置いて喜ばれるもんではなさそうだし。

2013/10/14(月)(村田真)

カイユボット展──都市の印象派

会期:2013/10/10~2013/12/29

ブリヂストン美術館[東京都]

カイユボットは印象派のなかでは知名度こそ低いものの、光の鈍い反射を描くのが巧みな画家だ。たとえば雨にぬれた石畳とか、室内の木の床の描写とか。今回も《ピアノを弾く若い男》のピアノに反射した光とか、《ペリソワール》のオールを映す水面とか、《ヨーロッパ橋》の鉄橋の質感などにその特徴がよく現われている。カイユボットは裕福な上流階級の出身だが、その食事風景を描いた《昼食》を見て既視感を覚えた。調べてみたら、「印象派を超えて──点描の画家たち」展に出ていたシニャックの《ダイニングルーム 作品152》とよく似ている。窓からの逆光、画面やや左に据えられたテーブルと、その上の食器、テーブルにつくふたりの家族と、そのあいだに立つ給仕……。窓の数や画法の違いはあるものの、構図も空気感もほとんど同じだ。カイユボットのほうが10年早いので、シニャックが参考にしたのかも。

2013/10/14(月)(村田真)

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2013年11月15日号の
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