2021年09月15日号
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artscapeレビュー

2009年12月15日号のレビュー/プレビュー

『Architecture = durable』

発行所:Picard

発行日:2008年6月

本書は、パリの4区にあるパリ市の都市・建築に関する情報資料展示センター「パヴィヨン・ドゥ・ラルスナル」で開催された「Architecture = durable」展の展覧会カタログである。この展覧会は、2008年にフランス人建築家ジャック・フェリエによる監修で開かれ、30の建築家のイル=ド=フランス圏における30の作品が展示された。パリで、持続可能性(durable)をテーマに取り上げたはじめての本格的な建築展であるといえる。出展作家はフランス人建築家を中心としつつ、大御所から若手まで、またSANAAやOMAなど外国人建築家も加わったバランスのとれた構成であり、この一冊で現在のパリの建築の状況をかなり知ることができるだろう。またアレグザンダー・ツォニスの「三つのエコロジー」など興味深い論考も収録されている。巻末にはフランク・ブッテによるマトリクス的分析や、関連語句の用語辞典も付いている。
なお、パヴィヨン・ドゥ・ラルスナルは、常設展でパリの歴史とパリ市の最新プロジェクトを展示しているほか、年に2~4回程度の企画展を行なっており、ほかにも、資料センター、都市計画閲覧コーナー、併設書店がある、多くの講演会、シンポジウムを開催しているなど、パリで建築・都市の情報を集めるには絶好の場所となっているので、パリにいく建築・都市関係者にはおすすめの場所である。

関連URL:http://www.pavillon-arsenal.com/

2009/11/06(金)(松田達)

三保谷硝子店──101年目の試作展

会期:2009/10/27~2009/11/08

アクシスギャラリー[東京都]

宮島達男、杉本博司、吉岡徳仁らとコラボしたガラス屋さんの展覧会。アーティストによって透明性、輝き、量塊感などガラスに対する着目点が異なるので、それぞれのニーズにガラス職人はこたえなければならないから大変だ。内部を鏡張りにした球形のなかにデジタルカウンターをちりばめた宮島の作品が美しい。

2009/11/06(金)(村田真)

ジャン・ミッシェル・アルベロラ展「大きいものと小さいもの──チャプター2」

会期:2009/10/10~2009/11/29

メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]

東京とパリの地下鉄の切符やネオン作品もあるが、圧巻は壁画。この鮮やかな色づかいと軽快な線描はさすがフランス、とつくづく思う。

2009/11/06(金)(村田真)

トーマス・ルフ「cassini+zycles」

会期:2009/10/16~2009/12/19

ギャラリー小柳[東京都]

衛星や土星の環の画像。NASAがネット上に公開している写真だそうだ。だれが撮ったものだろうが、天体写真はそれだけで美しい。だからズルイって気がする。

2009/11/06(金)(村田真)

‘文化’資源としての〈炭鉱〉展

会期:2009/11/04~2009/12/27

目黒区美術館[東京都]

これはまたよく集めたもんだと感心する。炭鉱を描いた風景画だけでも、素人の炭鉱マンの手になる稚拙な絵もあれば、野見山暁治や立石大河亞らプロの画家による油彩画もあるし、山本作兵衛のように坑内の様子を克明に描写した記録画もあれば、「ヤマ」を抽象化した大作もあるし、労働者を強調した社会主義リアリズムもある。そのほか、五木寛之の小説『青春の門』を飾った風間完の挿絵、土門拳の写真集『筑豊のこどもたち』、岡部昌生のフロッタージュ、労働運動のポスター、川俣正のパノラマ的インスタレーションまで、少しは取捨選択しろよといいたくなるほど手当りしだい集めている(ように見える)。が、本当は「たったこれだけ?」というべきかもしれない。炭鉱は日本の近代化を担った基幹産業であり、半世紀以上にわたり何十万もの人々が関わってきた一大社会だっだったはず。そんな炭鉱に関係する美術作品が、ギューギューづめとはいえ小さめの美術館にすっぽり収まってしまうのだから、少なすぎるというべきだろう。一見、量で勝負しているように見えるこの展覧会、じつは量の少なさによって「炭鉱をめぐる美術」の危機を訴えているのかもしれない。

2009/11/06(金)(村田真)

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