2021年09月15日号
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artscapeレビュー

2009年12月15日号のレビュー/プレビュー

THEハプスブルク

会期:2009/09/25~2009/12/14

国立新美術館[東京都]

おそれおおくも本日は天皇陛下即位20年を記念して200円割引ってことで見に行く。それでも1,300円するからね。東博の「皇室の名宝」展は無料だって。タダでさえ混んでるのに、タダならもっと混むぞ。シャレです。「ベラスケスもデューラーもルーベンスも、わが家の宮廷画家でした」というコピーが物語るように、おそれおおくもハプスブルク家はメディチ家と並ぶヨーロッパ最大のパトロン。つまり「王室の名宝」展のはずなのに、この程度の作品しか来てないんじゃ誤解されかねない。ティツィアーノもルーベンスも収蔵庫から引っぱり出して来たみたいな在庫一掃セール的2流品だし、ルドルフ2世の好んだピーテル・ブリューゲル(父)は1点もないし。でもそのルドルフ2世を描いた肖像画をはじめ、デューラーの《若いヴェネツィア女性の肖像》、ベラスケスの《白衣の王女マルガリータ・テレサ》など見るべきものもあった。注目したいのは、ユディットやサロメなど首を斬る絵が何点か出ていたこと。昔の皇室じゃなかった王室は血がお好きだったようで。

2009/11/12(木)(村田真)

第41回日展

会期:2009/10/30~2009/12/06

国立新美術館[東京都]

こちらは出血大サービスの入場無料。さすが日展、皇室とのつながりが強いんでしょうか。かつて帝展だったし。今年の陳列点数は日本画・洋画・彫刻・工芸・書も合わせて3,098点。それにしても100年前から続くこのジャンル分けと序列、そろそろどうにかならんもんかね。作品そのものはあいかわらずだが、驚いたのはガイド本の「洋画」の巻頭に本江邦夫氏が文章を寄せていること。さすがに「絵画」についての一般論を述べるにとどまり、「洋画」にも「日展」にもまったく触れていないが、その絵画論が日展の洋画批判として深読みできる仕掛け。今度はぜひ展示を見ての感想を書いていただきたい。

2009/11/12(木)(村田真)

シェル美術賞展2009

会期:2009/11/11~2009/11/15

ヒルサイドフォーラム[東京都]

その本江氏が審査員長を務めるシェル美術賞展。なんかどれもこれも似たり寄ったりで飛び抜けた作品がないなあと思ったら、審査員も同様の感想だったらしく、審査は難航したらしい。結果、グランプリはなしで準グランプリに吉田晋之介の《樹海にて》が選ばれた。が、この作品も一見だれかとだれかの作品を足して2か3で割ったような印象は否めない。このような作品の均質化は、描く側に強力なモチベーションが欠けているからではないか。もし描くモチベーションがこうしたコンペに入選することだけにあるとすれば、シェルも日展化していくだろう。

2009/11/12(木)(村田真)

代官山インスタレーション2009

会期:2009/11/01~2009/11/23

旧山手通り+八幡通り+中目黒周辺[東京都]

佳作はあっても、グランプリ該当作品なしという印象だ。小さなビルの屋上にカツラをのせた高橋寛の《他知人》には思わず笑ってしまったが、だからどうだってことでもないし、仮囲いに鏡をはって壁に穴を開けたように見せる武田慎平らの《向こう側》は、一瞬オープンな気分にさせてくれるが、しょせんトリックアートだし、階段の垂直面に地層を現出させた小林祐+小林麻梨菜の《代官山ローム層》には準グランプリをあげたいが、根拠が希薄。で、ほんとの受賞作は、最優秀賞が高橋寛、審査員特別賞が小林祐+小林麻梨菜でした。当たらずも遠からず。

2009/11/12(木)(村田真)

浅井裕介+狩野哲郎「ジカンノハナ」

会期:2009/11/06~2009/11/28

黄金町スタジオ[東京都]

「時間の花」はミヒャエル・エンデの『モモ』に出てくるモチーフ。浅井も狩野も増殖する植物がテーマなので重なるのだろう。浅井は相変わらず壁にマスキングテープを貼った上に植物ドローイングを延ばしていくほか、ガラス窓に泥絵を描いている。狩野はその隣の部屋に種を山積みして発芽させ、ニワトリを放し飼いしている。浅井のドローイングが狩野の部屋に侵入し、狩野のニワトリが浅井の部屋に闖入する。この「越境感」がふたりの持ち味。

2009/11/12(木)(村田真)

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