2021年10月15日号
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artscapeレビュー

2009年12月15日号のレビュー/プレビュー

応挙館で美術体験

会期:2009/11/17~2009/11/26

東京国立博物館庭園内応挙館[東京都]

東博は奥が深い。平成館の裏手に応挙館があるなんて知らなかった。もともと寺の書院として建てられたものだそうだが、円山応挙の襖絵があることから応挙館と呼ばれるようになった。現在は茶室として使われ、襖絵もレプリカに替えられている。今回はその一之間で応挙作品を体験し、二之間で鯨津朝子の制作したドローイング・インスタレーションに触れ、江戸時代と現代をワープしちゃおうとの試み。さすがの鯨津も応挙の絵に上描きはしなかったものの、畳や白壁には直接ドローイングしている。ま口実はどうあれ、重要なのは鯨津が応挙館にラクガキしちゃったこと、東博がそれをやらせちゃったことですね。これは快挙、円山快挙。

2009/11/17(火)(村田真)

皇室の名宝

会期:2009/11/12~2009/11/29(2期)

東京国立博物館[東京都]

応挙のついでに「皇室の名宝」を見た。2期は考古遺物や古筆、絵巻、名刀など辛気くさいものばかりなので、15分で出た。

2009/11/17(火)(村田真)

遠藤秀平編『ネクストアーキテクト2 カケル建築家』

発行所:学芸出版社

発行日:2009年8月10日

とにかく読みやすい本である。本書は『ネクストアーキテクト 8人はこうして建築家になった』の続編である。遠藤秀平氏が8人の建築家、構造家、計画者たち(千葉学、長坂大、小野田泰明、曽我部昌史、乾久美子、陶器浩一、芦澤竜一、金田充弘の各氏)にインタビューをし、子供時代の体験から現在までをそれぞれ語ってもらっている。「理論」ではなく「原体験」の重要性を、前著よりさらに大きく感じたことが明記されている。そして「理論」より生理的な「勘」が重要であると。インタビューも、生い立ちから、現在までのさまざまな苦労や体験について語られる。おそらく理論的な話は意図的に抜かされている。本書は、特に何かの節目や分かれ目において悩んでいる建築学生に大きな勇気を与えるだろう。現在活躍している建築家も、多くの節目で悩んできたことがわかるから。また、インタビューされている建築家たちは、主に30代、40代であるため、学生にとっては、少し前の時代に何があったのか、近過去を知ることもできるだろう。本を読むというより、先輩たちの話を聞くという形で手にとってみると、想像以上の収穫のある本だと確信を持って言える。

2009/11/19(木)(松田達)

林勇気 展「over lap」

会期:2009/11/10~2009/11/22

neutron Kyoto[京都府]

映像の動きや音は一定のリズムを刻んでいるのだけれど、脈絡のつかめないモチーフや、どこかつかみどころのない不安定な展開要素が気になって結局目が離せなくなってしまう。起きた時に夢の内容を思い出そうとするときのような、断片的な記憶のイメージと想像力でストーリーを無意識につなごうとする感覚だ。一貫して洗練されたお洒落なイメージの映像がときどき退屈にも感じられるのだが、ただ、その淡々と平坦に運ぶ小さなドラマもまた林さんの作品の大きな魅力のひとつで個人的には好きだ。

2009/11/19(木)(酒井千穂)

オラファー・エリアソン──あなたが出会うとき

会期:2009/11/21~2009/03/22

金沢21世紀美術館[石川県]

金沢21世紀美術館のユニークな展示空間を生かして、おもに光と色の原理を応用したインスタレーションを展開している。たとえば壁に幾何学形の穴をつくって鏡を埋め込み、万華鏡の原理で結晶のような正多面体を現出させたり、ガラス張りの狭い通路いっぱいに大きな扇風機をとりつけで回し、空気の流れを一方通行にしたり、赤から紫までの可視光のスペクトルを300枚の板に塗り分け、一列に並べてグラデーションをつくったり、といったように。ちょっとした工夫で見えないものを美しく顕在化させる手法は見事。昨晩のトークでは「ミステリーよりリアリティを重視する。リアリティはミステリーだが」とか「ここに100人いれば100の見方、考え方がある。『あなたが出会うとき』はそういう意味」と逆説を交えた理屈をこねていたが、理屈は不要、見ればわかる。

2009/11/20(金)(村田真)

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