2019年07月15日号
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artscapeレビュー

益村千鶴「Esperanza」

2009年01月15日号

会期:12月9日~12月28日

neutron[京都府]

あいにく私は見逃したけれど、2005年の大阪のベルギーフランドル交流センターでの展示が出会いのきっかけとなり、京都では初めてのこの発表に至ったのだと聞いた。作品を見るのは今回が初めてだが、どこかで手に取ったそのときのDMがとても印象に残っていて、会場で過去の作品ファイルを見ていてすぐにその記憶がつながった。3年も前の、しかも見ていない展覧会のDMなんてほとんどは覚えていないものだが、それだけ益村の作品は強いのだと思う。さらっと軽いタッチの作品や、脆弱でふわふわと浮遊するような薄いイメージの、最近よく見かける絵画とは完全に一線を画している。画面に深く堆積する色の重厚感と、時間が止まったような静謐な雰囲気は、観る側との空気を分ける固い印象で緊張感が漂っている。しかし、同時にモチーフの滑らかな質感や輪郭、鈍い色彩の世界が美しく、全体的にどの作品も、明け方や夕暮れ時の空の色がゆっくりと移り変わっていくさまのように視線を惹きつける。神々しいという言葉も浮かんでくる圧倒的な魅力があった。

2008/12/21(日)(酒井千穂)

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