2019年11月01日号
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artscapeレビュー

琴平プロジェクトこんぴらアート2008・虎丸社中

2009年01月15日号

会期:12月12日~12月14日

老舗旅館「虎丸旅館」及び木造和風建築「琴平公会堂」[香川県]

美術家の彦坂尚嘉が金比羅で旅館を使ったアートイベントに参加するというので、そのトークに出席した。金比羅の上のほうでは鈴木了二の建築や、田窪恭治の襖絵があるなどハイ・アート的であるのに対し、今回は下のほうで違うかたちのイベントをやるという。ギャラリー・アルテという四国のギャラリーの女性ギャラリストが企画し、とら丸という旅館の各部屋に展示。宿泊施設をアートの展示に使うのは、東京のアグネスホテル、大阪の堂島ホテルなどでもあり、ベッドや浴室にアートがあったり、少しずつ間取りの違う同じフロアの部屋をすべて見たりする機会は、修学旅行でもないとできない体験。単純にアートがどうこういうより経験として面白い。 今回はその旅館版。木造和風の旅館で、日本の旅館に典型的な、でたらめな増改築がされたプラン。例えば2階に上がるのに四カ所くらい変なところに階段がついている。作家のなかにはその特性をうまく使う人と使わない人がいて、彦坂さんは結構うまく使っていた。二つの会場での展示があり、客室では天井にナスやトマトのオブジェ。彼の初期の作品はフロアー・イベントという床の作品だっただけに、面白い展開。他の作家と違い、床を占有しておらず、そういう意味だと興行的にもあり得る。もうひとつ公会堂でやっていたのは、皇居美術館空想の展開。ちょっとした体育館くらいの広さの空間の真ん中に、存在感のある皇居美術館の模型が置かれる。またその延長である帝国美術館空想も一部紹介。隣に糸崎公朗のフォトモの作品があり、壮大でグローバルな展開の彦坂さんと、ミクロな観察眼で虫や町並みの観察を行なう糸崎さんの展示が対照的だった。

2008/12/14(日)(五十嵐太郎)

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