2019年09月15日号
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artscapeレビュー

「クオーター・パウンダー」(マクドナルド)のデザイン戦略

2009年01月15日号

基本はチーズバーガーで牛肉パテが通常の2.5倍、重量にして約113gとなったマクドナルドのスペシャル・メニュー「クォーター・パウンダー」が現在、地域限定販売されている。クォーター・パウンダー」というメニュー名は、過去にもまた日本以外の国でも使われたことがある。今回の日本での展開で特筆すべき点は、入念に仕組まれたイベントの実施とともにデザイン性の高いグラフィックデザインを駆使した大胆で緻密な告知戦略である。まず11月に「マクドナルド」名を出さずに「クォーターパウンダー」というショップを東京・青山に出店し、既存のマクドナルド・ハンバーガーとの差別化を図った。メニューのロゴや店舗のデザインは、たとえば、HMVやTOWER RECORDSなどのお洒落なレコード販売店のグラフィックに通じる黒と赤を基調にした大胆なデザインを採用しており、従来のファミリー路線とは一線を画している。グラフィック媒体に用いられるコピーには挑発的な言葉が並ぶ。たとえば「ハンバーガーをナメているすべての人たちへ」など(その色使いや挑発的なメッセージは、現代美術のバーバラ・クルーガーなどのメッセージ性の高い作品を彷彿とさせる)。現在では、地域限定で普通のマクドナルドの店舗でも売られているが、そのクルーのユニフォームの背にはその言葉がプリントされている。この現象をどう見るべきか? 昨年、マクドナルドは100円の「プレミアム・ロースト・コーヒー」を出して、その価格と味の良さで業界を震撼させた。同様に、「ジャンク」なイメージを払拭し、実質的な「食事」のアイテムとして定着させようというプレミアム路線が垣間見える。「ハンバーガーをナメている……」という挑発的なメッセージは本音のメッセージであろう。もちろん味とサービス、そして価格が伴わなければ、消費者は納得しない。その挑戦的な姿勢こそが、熾烈な外食戦争のなかで、マクドナルドに勝利をもたらしている理由なのである。それは企業のデザイン力の問題でもあるのだ。

クォーターパウンダー公式サイト
クォーターパウンダー メニュー情報

2009/01/14

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