2019年12月01日号
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artscapeレビュー

デザインのリサイクル スウォッチの復刻プロジェクト

2009年01月15日号

スウォッチ社は、近年、しばしば過去のモデルの復刻版をリリースしている。昨年の復刻版のひとつに、1999年に発表された時計で、日本では関西空港や銀座エルメスビルを手がけたイタリア人建築家、レンゾ・ピアノがデザインしたモデルがある。スケルトン・ボディで時計のムーブメントがむき出しに見える。そのムーブメントの各部が丁寧に、ビビッドに色分けされた時計である。その名は「ジェリー・ピアノ」。機械的な構造をそのままデザインとして見せるという考え方は、リチャード・ロジャースと共同で設計に関わったポンピドゥーセンターの建築の理念に通じる。昨年末には日本のショップでも見られるようになった。時計は、機能的には成熟した製品であるがゆえに、デザイン的な差別化がより重要になっている。スウォッチ社設立来、膨大な種類の時計がリリースされてきた。そのなかで、デザイナーの意志が貫かれた際立った時計がいくつも存在する。デザインを復刻すること、言い換えれば、デザインをリサイクルすることは、今後のデザインのあり方の一端を示している。優れたデザインであれば、リサイクルに耐えうるデザインの力を有しているはずである。筆者は、思わず、ジェリー・ピアノ復刻版を銀座で買い求めてしまった。

2009/01/14

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