2019年11月01日号
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artscapeレビュー

イデビアン・クルー・オム『大黒柱』

2009年01月15日号

会期:2008/12/18~2008/12/20

川崎市アートセンターアルテリオ小劇場[神奈川県]

不意にけつまずくとか、井手茂太率いるイデビアン・クルーの魅力は、小振りな動きから生まれる不意打ちのリズムにある。舞台中央に屹立する巨大な「大黒柱」も、そんな一例で「なんだこれ!」とまず開演前に驚かされる。この柱を囲んで、男ばかり(全員30~40才代に見える)の6人が、建物を建造する職人たちや工務店の社員に扮し、労働とダンスを往復する。いくつもの小さな渦が瞬間的に生み出す大きな構造とか、「ガチムチ」で手足が短かいゆえに極端に素早い動きを見せる井手のスリリングなダンス、他ではあまり見かけない奇妙にエロティックでけだるい時間など、井手らしい見所は多い。ただ、男ばかりの舞台は男性性へのことさらな執着を引き出した分、そもそもの井手的不意打ちの生まれる条件であり、いつもはそこが焦点であるはずの(広義の)異文化接触は薄まっていた(肉体労働者と事務労働者の身体性の違いは、取り上げられていたけれど)。途中から柱が男根としか見えなくなったぼくは、舞台に描かれる中年男子の身体性やエロティシズムに、同年代のダンス集団コンドルズとかEXILEにはない豊かさを感じる一方で、ただ、「それ、見たい?」と自問すると答えに窮してしまうのだった。

2008/12/18(木)(木村覚)

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