artscapeレビュー

第8回文化資源学フォーラム

2009年01月15日号

会期:12月20日

東京大学本郷キャンパス法文2号館2大教室[東京都]

東京大学の木下直之研究室が2001年から開催しているフォーラム。大学院の講義で、学生に半期で何でもよいと企画をやらせ、その組み立ても自由。8回目の今年は展覧会とも組み合わせ、高速道路や東京タワーなど高度経済成長期の東京景観を再考するということで、五十嵐の講演では『ALWAYS』批判などを行なった。東京タワーは1958年完成のテレビ塔で、ちょうど開業50周年を迎えた。たまたま建築と映画の本を書いていてなるほどと思ったのだが、50-60年代はまだ娯楽が少なく、、映画が全盛だった。そのころにテレビ放送が開始され、映画が衰退していく。だからテレビというメディアを象徴する東京タワーは、映画を衰退させたシンボルでもある。しかし一方で、東京タワーの入場者数は2000年には最盛期の半分にまで落ち込んでいた。それを復活させたのは『ALWAYS 三丁目の夕日』やリリー・フランキーの『東京タワー──オカンとボクと、時々、オトン』など、映画と小説であったのは皮肉だ。

2008/12/20(土)(五十嵐太郎)

2009年01月15日号の
artscapeレビュー