artscapeレビュー
丹下健三《東京カテドラル聖マリア大聖堂》
2009年01月15日号
[東京都]
1964年竣工の丹下の代表作を訪問。目白通り側から見たときの鋭角的なフォルムと、近づいたときの優美な曲線のフォルムが同形態。ポストカードの航空写真で見える十字形のフォルムはあまりにもシャープ。ひとつの形態から生まれているとは思えない複雑さ。しかし構成原理は明快。単純さが、複雑さを生み出している。同年竣工した《国立代々木競技場》と同じく、構造は坪井善勝。そして内部空間にも圧倒される。一歩一歩、空間の重みを感じる。クリスマス近くだったからか、運良くパイプオルガンの練習音が響いているのを聴くことができた。残響時間は7秒で、ヨーロッパの大聖堂に匹敵するという。何度行っても、心が洗われる。向かいにある椿山荘の庭園は、都心にいることを忘れる豊かな緑。
2008/12/23(火)(松田達)