artscapeレビュー
神村恵カンパニー『配置と森』
2009年01月15日号
会期:2008/12/20~2008/12/22
STスポット[神奈川県]
「運動on」と「静止off」。このきわめて根本的な2要素が、多様な配置を生み出し「森」というにふさわしい千変万化の景色を生み出した。舞台には、美術作家・出田郷の制作した細い光を放つ白いキューブが16個とダンサーが4人。軽く飛び上がりながら「斜め上」「左横」「右横」「前」と首を振り続けるだけのダンスが冒頭と最後にあって、それは「ダンス」であり「観察」の身ぶりでもあった。なるほど、舞台上のダンサーは踊る者であり見る者でもあるはず。確かに彼らは、舞台に並んだ他のダンサーやキューブを見つめときに配置換えし、自らもまたそうされ続ける。抱えられるとダンサーはキューブのように物と化し、他方でキューブは光を放ち自己主張する。人と物とが等価な空間。ダンサーとキューブが織りなす運動と静止の連続は、ダンスというかポーズの連鎖と思わせ、ダンスというかインスタレーションと思わせる。といっても、それが生み出すスリリングな時間は紛れもなくダンス的な何かであって、むしろすべての芸術に潜在するoff+onの可能性を意識させ、すべての芸術がダンスでもあることを意識させる公演だった。ところで何故、on+offはスリリングか? onにoffが含有することとなり、offはonを予期させるから。神村はその真実を手中にしていて、それをクリアに舞台上で展開した。
2008/12/22(月)(木村覚)