artscapeレビュー
2009年11月15日号のレビュー/プレビュー
スカイアクアリウムIII
会期:2009/07/17~2009/10/4
東京シティビュー[東京都]
カットされた巨大なダイアモンドみたいなガラスの水槽に入れられ、次々と照明の色が変化していくクリスタル金魚(クリキン)。これでは魚もおちおち寝ていられない。時々水槽のなかにケータイみたいなものが入っていて、温度でも調節する機器類かと思ったら、ドコモの防水ケータイの宣伝だった。おいおいスポンサーだからってそんなもん水槽のなかに入れるなよお。迷惑顔のお魚さんであった。
2009/10/04(日)(村田真)
あいちトリエンナーレ2010プレイベント「放課後のはらっぱ──櫃田伸也とその教え子たち」
会期:2009/08/28~2009/10/25
愛知県立美術館[愛知県]
会期:2009/08/22~2009/10/18
名古屋市美術館[愛知県]
来年開催される「あいちトリエンナーレ2010」プレイベントの展覧会。画家の櫃田伸也の画業と、現在国内外で活躍するその教え子19名のアーティストの作品を紹介している。奈良美智、杉戸洋をはじめ、加藤美佳や村瀬恭子、額田宣彦、渡辺豪など、各作家の若い時代の作品が多く展示された会場は、その数自体も見応えのあるボリュームだが、なによりも親しみやすいというか、学生ならではのトンガリ具合や制作の苦悩も垣間見えるような、若さという魅力にも溢れて清々しく、疲れることなく楽しめる展示だった。また、この人もあの人も教え子なのか、と今展で知ることができたのも収穫。きっと素敵な先生なんだろうなと想像すると、自分の恩師の顔も浮かんできた。その後に訪れた名古屋市美術館は櫃田作品のみの展示。ここで愛知県立美術館で見た各アーティストが描いた「櫃田先生」の肖像があれこれ思い出されるのがまた良い。先生と学生の関係をそれぞれの会場で想像する楽しさがある展覧会で、貴重なものを見せてもらった気分。
http://aichitriennale.jp/hitsuda/
2009/10/04(日)(酒井千穂)
新根津美術館リニューアルオープン
新根津美術館[東京都]
3年半の休館を経てリニューアルオープン(美術館は「新創開館」と呼ぶ)した根津美術館のお披露目。門をくぐり、両側に竹を見ながら歩くアプローチはまるで高級料亭を思わせるし(入ったことないけど)、ガラス張りエントランスとロビーは京都か奈良のホテルみたい。和服の女将が出迎えてくれないのが不思議なくらいだ。庭園からながめると、美術館らしからぬ大きな瓦屋根が美しい。でも展示室は1.6倍に拡張されたというのに、部屋が分割され、しかも全体に暗いせいかむしろ狭くなった感じがしないでもない。設計は隈研吾。「新創記念特別展」の第1部として、国宝那智瀧図が公開されている。
2009/10/05(月)(村田真)
TWSエマージング122:海谷慶「Vastness─空々漠々─」
会期:2009/10/03~2009/10/25
トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]
木で珊瑚礁を彫っている。木の珊瑚礁。珊瑚のかたちも海面の近くで育つせいか、波の飛沫によく似ている。だから木で流体を彫ってるようなものだ。
2009/10/06(火)(村田真)
河野愛 展──うたかたの家
会期:2009/10/01~2009/10/24
INAXギャラリー2[東京都]
会場の中央に家のかたちをした布が吊るされ、その表面に家の内部の写真がプリントされている。だから一見内部が透視された家のようだが、よく見るとドールハウスを撮影した写真なのだ。吊るされた家、布の建築、透視されたインテリア、拡大されたドールハウス……。この家は2重にも3重にも矛盾したビックリハウスなのだ。
2009/10/06(火)(村田真)