artscapeレビュー

2009年11月15日号のレビュー/プレビュー

ニューアート展2009 写真の現在・過去・未来──昭和から今日まで

会期:2009/10/09~2009/10/28

横浜市民ギャラリー[神奈川県]

横浜開港150周年記念事業の一環として開催された写真展。他に横浜美術館で「近代日本の残像──幕末明治から大正へ」展(9月19日~11月23日)、横浜市民ギャラリーあざみ野で「Photo Communication」展(10月23日~11月8日)も開催された。横浜は1862年に下岡蓮杖が写真館を開業した「写真発祥の地」でもあり、このような連動企画はなかなか面白い試みだと思う。
関内駅前の横浜市民ギャラリーでの「写真の現在・過去・未来」展は、横浜市民ギャラリーと横浜美術館のコレクションからピックアップした「昭和の写真」、山手地区を撮影するという市民参加のプロジェクト「未来に残したいヨコハマの風景」、池田晶紀、進藤万里子、原美樹子の三人展「現代の写真表現」の三部構成である。やや総花的な企画で、焦点がぼやけているのは否定できないが、写真表現の多様な広がりをできるだけ噛み砕いて伝えたいという主催者側の意欲は伝わってきた。原美樹子の浮遊感のあるスナップ、「未来に残したいヨコハマの風景」のプロジェクトにアドバイザーとして参加した常磐とよ子の力強い作品などは、なかなか見応えがあったが、全体的に見ると、やや入り込みにくい印象を観客に与えたかもしれない。丁寧なキャプションやわかりやすい順路の設定など、もう一工夫必要だったのではないだろうか。

2009/10/12(月)(飯沢耕太郎)

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菊地宏 展「FOTOTEST」

会期:2009/10/03~2009/11/01

radlab.(京都市中京区恵比須町531-13-3F)[京都府]

京都で開かれた菊地宏の展覧会。場所はRAD(川勝真一+榊原充大)の活動拠点、京都河原町三条にあるradlab.内。写真で展示するという条件の使い方がうまい。建築の展示では模型と大判の写真が分かりやすいはずであるが、ギャラリーの大きさや効果を加味して、ほとんどアートの展示のように写真が配置されていた。パースにあわせて微妙に折り曲げられた写真、包み張りキャンパスの布地のように木枠の裏側で写真の印刷面を留めることにより枠の側面にも回り込んだ写真、展示の原則をあえて外し奥行き方向にやや傾けられた写真など、ヴァリエーション溢れる「建築写真」の展示がされていた。おそらく展示に使える予算的な条件もあったのだろうが、むしろ写真という条件を逆手に取り、建築と写真の関係を思考させるという方向に展開させた点が秀逸な展覧会だった。

2009/10/12(月)(松田達)

水都大阪2009

会期:2009/08/22~2009/10/12

大阪市一帯[大阪府]

世界的にも珍しいロの字型の水の回廊が大阪に存在すること、大阪が水の都であることをシンボライズする2カ月にわたる大規模なイベント。プロデューサーは北川フラムと橋爪伸也、総合アドバイザーは安藤忠雄。この2カ月間、水辺に関連する膨大なプログラムが行なわれた。筆者は最終日だけを見学したが、中之島周辺では、その盛り上がりのクライマックスを迎えていた。水や河川という視点から都市を見直したときに、従来認識していた都市構造が劇的に変化するという体験は極めて興味深い。実際、川口遊里図屏風などを見ると、都市が河川上にまで連続的に広がっていた様子がよく分かる。東京も江戸時代は、らせん上に掘割が切られ、豊かな河川・運河空間を持っていたが、現在そのことはあまり知られていない。この水都大阪のイベントは、過去により豊かな河川空間を持っていた他の都市にとっても、都市再生のモデルの一つとなりうるのではないだろうか。筆者は大阪に立ち寄ることがそれほど多くないのだが、今回ですっかり水のイメージが大阪に焼き付いた。

2009/10/12(月)(松田達)

河口龍夫 展

会期:2009/10/14~2009/12/13

東京国立近代美術館[東京都]

河口龍夫といえばぼくが学生だったころ、天文写真に星の名を振った《コスモス》シリーズや、石に蛍光灯を貫通させた《関係》シリーズに感銘を受けた覚えがある。それはぼく個人の嗜好もさることながら、70年代という時代状況にぴったりハマっていたからでもあるだろう。だから当時ぼくが惹かれたようには、いまの若者は河口作品に惹かれないのではないかと思う。いや、もっと新しい錆を使った《関係 質》シリーズや、種を鉛に封じ込めた《関係 種子》シリーズのほうに惹かれるのかもね。

2009/10/13(火)(村田真)

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高島屋美術水族館

会期:2009/10/07~2009/10/13

新宿タカシマヤ10階美術画廊[東京都]

絵画、彫刻、工芸による魚介類の作品を集めた水族館。出品は天野裕夫、出原司、岡村桂三郎ら16人。ぼくのお目当ては向山裕で、あいかわらず妙な生き物ばかり描いている。

2009/10/13(火)(村田真)

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