2020年11月15日号
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artscapeレビュー

アーヴィング・ペンと三宅一生

2011年12月15日号

会期:2011/09/16~2012/04/08

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

アーヴィング・ペンは1983年、『ヴォーグ』誌のためにはじめて三宅一生デザインの服を撮影した。これをきっかけにして、世界的に著名なファッション・フォトグラファーとデザイナーの交友が生まれ、1987年以降、ペンは毎年春と秋2回のコレクション作品の撮影を担当するようになった。さらにペンが撮影した写真は、田中一光のデザインによって大判のポスターに仕上げられる。1999年までに、ペン撮影の写真は250点にまで増えていた。今回の展示は、この二人の巨匠の「Visual Dialogue」の成果を、一堂に会するものである。
とはいっても、堅苦しい回顧展ではない。三宅が東京でデザインした服が、パリコレクションで発表され、さらにニューヨークのペンのスタジオに運ばれて撮影されるまでを、軽やかなタッチで描いたアニメーションが上映され、ペンが撮影した写真も、横長の大きな画面にプロジェクションして見せていた(会場デザイン・坂茂)。そのことによって、彼らの「対話」が、弾むような歓びと愉しみに満ちたものであったことがよく伝わってくる。また、ペンの三宅のデザインに対する解釈も通り一遍のものではなく、むしろそのポリシーをより過剰に、誇張して表現しているのが興味深かった。白バックの画面を極端に単純化するとともに、モデルの顔にメーキャップを施すことで、彼女たちも服の一部に組みこんでしまうように演出しているのだ。それでいて、1980年代のモノクローム、モノトーンから、90年代のカラフルなプリーツ素材を使った自由なふくらみのある表現への変化が、見事に捉えられていた。さすがというしかない。
会場には、アーヴィング・ペンの代表的な写真作品も並んでいた。1939年頃に撮影された「眼鏡屋のショー・ウィンドー」から、亡くなる3年前の「ベッドサイド・ランプ」(2006)まで。それらを見ると、あらためてエレガンスとグロテスクのせめぎ合いが、彼の作品世界の根幹であったことが浮かび上がってくる。

2011/10/01(土)(飯沢耕太郎)

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