2020年11月15日号
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artscapeレビュー

中村キース・ヘリング美術館

2011年12月15日号

[山梨県]

小淵沢のキース・ヘリング美術館で、アメリカのコレクターを描いた映画『ハーブ&ドロシー』の上映会があり、アフタートークの座談会に呼ばれた。この美術館、医薬関係の実業家、中村和男氏が集めたキース・ヘリングの作品を公開するため八ヶ岳山麓の小淵沢にオープン。設計は北河原温で、垂直・水平線を排した展示室といい、赤、白、黒だけの外観といい凝りに凝っている。美術館建築はシンプル・イズ・ザ・ベストだが、リゾート地では建築そのものも客寄せの目玉になるため、必ずしもシンプルがベストとは限らないようだ。観客はまず長い通路を下って暗い展示室に入り、黒い壁面から浮かび上がるキースの絵と対面。ゆるやかなスロープを上ると、白く塗られた明るい展示室に出る。地下鉄の落書きからアートシーンに浮上し、親しみやすいキャラクターで人々を楽しませながらエイズでなくなったキース・ヘリングの短い人生を、闇と光で表現しているのだという。近隣にはプライベートスパやレストラン、温泉宿、アトリエもあって快適。美術館だけなら1回見れば十分だが、これだけそろっていればまた来てみたくなる。

2011/11/19(土)(村田真)

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