2020年11月15日号
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artscapeレビュー

「日本のかたち展」ミラノサローネ帰国展と京文化フォーラム

2011年12月15日号

会期:2011/11/19~2011/11/27

有斐斎 弘道館[京都府]

今年の「ミラノサローネ」で展示された作品の帰国展として開催された展覧会。「日本の伝統的なかたち、美意識、感性を現代のインテリア空間や生活スタイルに、新しく機能する室礼として提案する」というテーマがあり、イタリアのデザイナーも含め、年令や性別もさまざまな20名のアーティストの作品が展示された。「日本」「伝統」というキーワードのせいなのか、たしかに美しいデザインは多いのだが、新しさを感じるというほどのものはほとんどなかった。けれど、そんななかで抜群に素敵だったのが、陶板画家で陶磁器デザイナーでもある河原尚子の2点の器。ひとつは蝶と亀、もうひとつには鳳凰と波の文様が描かれているのだが、これらにはそれぞれに物語も設定されていた。どちらの器も華やかな色彩で、装飾的な絵柄や文様に目を奪われるようであったのだが、特に感動したのはひとつの器に、欠けた箇所を漆で継ぐ「漆継」という技法があえて施されていたこと。それは、修復技術としての伝統を示すものでもありながら、物語世界の時間を表わすものでもあった。磁器という限られたマチエールのなかで、連想とイメージを自由に展開する河原の豊かな想像力とセンスが見事に発揮されていた。

2011/11/27(日)(酒井千穂)

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