2020年11月15日号
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artscapeレビュー

山本顕史「ユ キ オ ト」

2011年12月15日号

会期:2011/11/30~2011/12/11

リコーフォトギャラリー RING CUBE[東京都]

2011年7月に、北海道東川町の東川町国際写真フェスティバルの行事の一環として開催された第1回リコーポートフォリオオーディション(審査/飯沢耕太郎、鷹野隆大)で、グランプリに選出された山本顕史の個展である。最近ポートフォリオレビューにレビュアーとして参加する機会が多いが、このオーディションはそのなかでもかなりレベルが高いものだった。59名という応募者数はとりたてて多くないのだが、力作が多く、第一次審査の段階から絞り込むのに苦労した。そのなかでグランプリに選ばれた作品なので、それだけ期待も大きかったのだ。
山本は札幌在住の写真家だが、ロンドンの写真学校で学んだという経歴もあり、シリーズとしてのまとめ方がとてもうまい。「都市と雪」をテーマにしたこの「ユキオト」のシリーズでも、写真を選択し、組み合わせていくセンスが抜群で、ポートフォリオとしての完成度も高かった。それをRING CUBEの丸い回廊上の会場にどのように落とし込むのかと思っていたのだが、写真の数を少し増やし、天井から布プリントを吊るし、本物と見紛うような樹脂製の雪とスコップをインスタレーションするなど、巧みな会場構成だった。写真家としての潜在能力の高さを充分に感じとることができた展示だったと思う。
次は「雪の断面図」のような新鮮なアイディアをさらに発展させていくとともに、冬の北海道以外の新たなテーマも探していかなければならないだろう。上々の滑り出しを見せた新人写真家の正念場は、むしろ2回目の作品発表になることが多い。山本にもそこをなんとかクリアーしていってほしいものだ。

2011/11/30(水)(飯沢耕太郎)

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