artscapeレビュー
木野智史 展
2011年12月15日号
会期:2011/11/14~2011/11/19
ギャラリー白[大阪府]
大きく開いたアサガオのような円錐形の磁器のオブジェが並んでいた。会場の奥には、まだ花が開いていないそのつぼみを想起させる形のものもひとつだけある。私の肩幅くらいだろうか、円錐形の作品は結構大きなサイズで、薄い器のようなそれらのフォルムや淡い釉薬の色あいが、なんとも儚げな雰囲気を醸していた。なかでも、表面にスリットがつけられたものは繊細なイメージが掻き立てるのだが、近づいてよく見ると、滑らかな質感のそれは意外にも逞しい。《翠雨》というタイトルがついていた。作家は現在、京都市立芸術大学大学院陶磁器科で学んでいるのだそう。彼の作品ははじめて見たのだが、薄いイメージの向こう側に控えているずっしりとした存在感が記憶に残る。次の発表もぜひ見てみたい。
2011/11/18(金)(酒井千穂)