artscapeレビュー

阿部道子 展

2011年12月15日号

会期:2011/10/07~2011/10/09

吉田町画廊[神奈川県]

4、5年前の学生時代の作品から最新作まで、日本画を大小10点ほど展示。なんの変哲もない身近な風景をていねいに描いていて、とくに最近は肌触りにこだわっているように見える。たとえば100号大の最新作には木と人(作者自身)が描かれているのだが、これが単なる木と人ではなく、地面に映った木と人の影。いいかえれば、そこには木も人も描かれておらず、ただ土と小石と雑草が描かれているだけなのだ。じつは阿部さんはぼくも間借りしている共同スタジオの隣人なので、この絵は描き初めから見ていた。最初は木に寄り添う自画像なんて陳腐な絵だなあと思っていたが、ずいぶん描き進んだとき、それが影だとわかって目からウロコが落ちた。なんか視線をひっくり返された感じ。ほかにも最近は水の波紋や壁の凸凹した感触など、描きにくいテクスチャーばかり描いている。

2011/11/06(日)(村田真)

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