artscapeレビュー

エマージング・ディレクターズ・アートフェア「ウルトラ004」

2011年12月15日号

会期:2011/10/28~2011/11/03

スパイラルガーデン[東京都]

不況にも負けず、震災にも原発事故にもめげずに今日もアートフェアが開かれる。先月は東美アートフェアがあったし、このあとプリュス・ジ・アートフェアもひかえている。はたして売れるんだろうかと心配になるが、続いてるってことはそれなりに需要があるんだろう。そんなアートフェアのなかでも、この「ウルトラ」は画廊単位の出展ではなく、画廊の若手ディレクター(40歳以下)が個人で作家を選ぶ珍しい形式。だが悲しいことに、ぼくはほとんどのディレクターを存じ上げないし、ディレクターとほぼ同世代かそれ以下の出展作家も知らない人が多い。世代間のギャップは埋めがたいなあ。おそらく購買者も年配層より彼らに近い若い人たちが多いのだろう。作品も具象イメージの小品や工芸的作品が大半を占め、刺激的大作や破天荒な問題作は皆無に近い。若いのに、というより若いから、なのか。そもそもアートフェアにそんな問題作を期待するほうが間違っているのだが。

2011/11/03(木)(村田真)

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