2021年09月15日号
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artscapeレビュー

角田みどり「Messages.I」

2015年10月15日号

会期:2015/08/06~2015/09/19

キヤノンギャラリーS[東京都]

角田みどりは1977年、東京生まれ。2000年に上智大学外国語学部ロシア語学科卒業という、やや異色の経歴の持ち主である。その後、雑誌や広告の仕事をしながら、ここ10年余り世界中を旅して風景写真を撮りためてきた。今回の展示が最初の本格的な個展ということになる。
東京・品川のキヤノンギャラリーSは汎用性の高いスペースで、可動式の壁面とライティングを工夫して作品をインスタレーションすることができる。今回の角田の展示では、渡り廊下のような暗く、細い通路をくぐり抜けると、ロールペーパーを3枚つなげた巨大なプリントが並ぶ大きな空間が出現するように仕組まれていた。照明を極力抑えているので、最初のうちは画像の細部が見えてこないが、少し目が慣れてくると、世界各地の「聖地」をテーマにした構えの大きな写真群が浮かび上がってくる。数はあまり多くないが、写真はよく選び抜かれており「魂とはなにか? 祈りとはなにか? 神とはなにか?」という生真面目な問いかけに、彼女なりの答えを出していこうとする志の高さが充分に伝わってきた。
ただ、その「Message」の出し方があまりにも大上段にふりかぶり過ぎているので、気負い過ぎでやや単調になっているようにも見える。マクロコスモス的なイメージだけではなく、より小さな日常の宇宙にも目を凝らし、そこからも魂や祈りや神を引き出していくようになるといいのではないかと思う。次回の「Message.II」では、「壮大な大自然」だけではなく、人間の暮らしの細部も見てみたい。

2015/09/09(水)(飯沢耕太郎)

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