artscapeレビュー
Unknown VOID 箕輪亜希子
2015年10月15日号
会期:2015/08/28~2015/09/13
void+[東京都]
大きいほうの部屋には、中央に直径15センチくらいの石が鎮座し、周囲の壁や窓には、その石を草むらや水たまりや建物の脇などに置いて撮った写真が立てかけられている。なんか70年代のコンセプチュアル・アートを思い出すなあ。でも空気がぜんぜん違う。小さいほうのスペースには部屋いっぱいに大きなテーブルが置かれ、その上に小石、ボルト、ガラスの破片、カブトムシの死骸、花火のカス、小枝、タバコの空箱などを並べ、奥の壁のスクリーンにそれらが日常風景のなかにある状態を次々と映し出している。一見、静止画のように見えるが、風に揺れたり音が聞こえたりするので動画であることがわかる。かつてのようなコンセプトのゴリ押しではなく、むしろコンセプチュアリズムが排除したはずの叙情性が感じられ、さわやかな気分になる。
2015/09/01(火)(村田真)