2021年09月15日号
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artscapeレビュー

終戦70周年記念「私の右腕は御國に捧げた」

2015年10月15日号

会期:2015/08/25~2015/09/19

かんらん舎[東京都]

1943年に出版された『大東亜戦争 陸軍作戦記録画集』に収められた約20点ほどのカラー図版を中心に、画廊主の大谷さんが集めた資料を展示。この画集の印刷に間に合わなかった藤田嗣治の《アッツ島玉砕》は、別刷り(モノクロ)で収められたという。藤田らしい目立ち方だ。
その《アッツ島玉砕》の漢字と紀元暦によるサインが消され、アルファベット表記に直されたことを示す展示も。これは戦後、藤田がGHQの要請で作戦記録画を集めて東京都美術館に収め、アメリカに運ばれるまでの約5年間のあいだに藤田自身の手によって書き直されたもの。作戦記録画はあくまで戦時中の国内向けに描かれたものだが、戦後、外国人の鑑賞にも堪えられると信じてアルファベットに改めたという抜け目のなさ、変わり身の早さ。ここまで来るともう尊敬しちゃいそう。そのほか、戦時中に戦争賛美の詩歌をつくった詩人・歌人たちの詩集や歌集、アッツ島の戦闘で何人戦死し、何人捕虜になったかといった資料も展示。大谷さんは書棚から次々と資料を出してきてレクチャーしてくれるので、つい長居してしまった。

2015/09/03(木)(村田真)

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