artscapeレビュー

パク・ジフン「Condition Impossible」

2015年10月15日号

会期:2015/09/12~2015/10/03

CAS[大阪府]

韓国ソウル在住の現代美術作家、パク・ジフンの個展。パクの作品は、キネティック・アートの系譜に属するが、明快で簡潔な構造と運動の要素には、社会構造や人間存在についての象徴性を読み取ることができ、テクノロジーについての考察というよりも哲学的な様相を帯びているのが特徴だ。
出品作《心の分割器》は、平行に設置された4本の長い金属棒が、中央で回転する短い棒に接触すると押されて動き出し、その動きが隣り合った金属棒に当たると、次々と連鎖反応のように動きを誘発させていく作品。4本の棒は、互いに独立したパーツでありつつも、連鎖的に反応し、平行線→W字型→先端の一点集中というパターンを反復し、同調と反発を繰り返しながらも、全体としてひとつの機構のなかに組み込まれている。
また、《心の計測器》は、4本の水平器を四角いフレーム型に組み合わせ、四隅にロウソクを取り付け、シャンデリアのように天井から吊り下げた作品。天井近くに仕込まれたモーターの動きによって絶えず揺らされることで、水平器は平衡を求めつつも、成就されることはない。両作品ともに、明快な構造を持ちながらも揺れや運動性を与えることで、安定や平衡を求める心と、規定するフレームの強固さや束縛感からの解放を求め反発する心との両方を感じさせ、金属的で幾何学的な外見を持ちながらも、人間存在の両義性を擬人化した「計測装置」となっていた。

2015/09/15(火)(高嶋慈)

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