2021年09月15日号
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artscapeレビュー

「境界」高山明+小泉明郎 展

2015年10月15日号

会期:2015/07/31~2015/10/12

メゾンエルメス8階フォーラム[東京都]

住友文彦がキュレーションした「境界」展@メゾンエルメス。説明はわずかで読み解く展示である。前半の高山明は、福島の希望の牧場、あるいは牛と猿仮面の牛飼いが無人の波江町を歩く映像を提示し、人間と動物/人工と自然の境界を示す。そして、300年前の技術が記憶されたバッハ「羊は安らかに草を食み」を弾く子どもの映像を間奏曲とし、後半へ。今度は小泉明郎が記憶の問題を扱う。事故で記憶障害になった男が、サリン事件も彷彿させる日中戦争時の加害エピソードを暗誦するが、苦しみながら反芻し、やがて記憶が消えていく。短時間に圧縮したそれはわれわれや社会の忘却の構造と似ていよう。男の脳内のようなもうひとつの映像と対になっていた。

2015/09/12(土)(五十嵐太郎)

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