artscapeレビュー
試写『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』
2015年10月15日号
ガウディのサグラダ・ファミリア教会を初めて知ったのは大学1年のとき、高見堅志郎先生の建築史の授業でのこと。奇怪な形状にもたまげたが、あと100年か200年は完成しないだろうという時間感覚の違いにもおったまげた。実際に見に行ったのはそれから10余年後で、作業は永遠に終わらないんじゃないかってくらい牧歌的に行なわれていたが、さらに10余年後に訪れたときにはずいぶん工事が進んでいて、これはひょっとしてぼくが生きてるうちに完成するかもと思わせた。この映画によると2026年に完成予定だというから急ピッチで工事が進んでることがわかる。映画ではとくにこの建築の秘密が新たに解き明かされるとか、開かずの小部屋にカメラが初侵入なんてこともなく、異貌の教会と主任彫刻家の外尾悦郎をはじめとする関係者の証言を淡々と映し出すだけだが、ガウディ好きには必見の作。
2015/09/15(火)(村田真)