artscapeレビュー

2015年08月15日号のレビュー/プレビュー

ベッド&メイキングス第4回公演「墓場、女子高生」

会期:2015/07/17~2015/07/26

東京芸術劇場 シアターイースト[東京都]

タイトルどおり、墓場と女子高生の組み合わせの妙が効いている。とんでもなく生を謳歌する根本宗子ら、女子高生のパワフルさと、彼女たちが息抜きで集う墓場(の死者たち)。そして両者をつなぐ亡くなった友人=清水葉月が、物語をドライブさせるエンジンとなる。生者の記憶こそが、幽霊を存在させるという重いテーマを抱えながらも、歌あり笑いありの舞台だった。

2015/07/20(月)(五十嵐太郎)

《横浜市仲町台地区センター》

[神奈川県]

竣工:1995年

横浜の仲町台へ。閉館後だったが、ワークステーションの手がけた仲町台地区センターを見る。BankARTの講義で高橋晶子が述べたように、湾曲するガラス面で包む、手前の樹木がかなり成長していた。この近くの横河健の事務所(横長窓、大胆構造)の下にあるレストランで食事をする。ここは緑道に面するので、昼のほうが眺めがよいかもしれない。

2015/07/20(月)(五十嵐太郎)

荻上チキ Session-22「新国立競技場問題の元凶? ここがヘンだよ、日本のコンペ!」(提案モード)

新国立競技場の件を契機に、多くの人が建築に関心をもち、TBSラジオのSession-22で「ここがヘンだよ、日本のコンペ!」のような通常は企画されない番組が生まれたのはよかった。山本理顕が出演し、日本の特殊な建築事情の問題がちゃんと語られている。しばらく前から、数分で何事も切り取るテレビのニュースや情報番組を見なくなり、Podcastでラジオを聴くようになったが、やはり十分な時間をかけた番組はちゃんとしている。なお、この番組で、槇文彦が8万人を維持するなら白紙撤回の意味なしと電話のインタビューで語ったように、結果は首相の権力誇示だけで、建築界みな敗北になりかねないのは残念過ぎる。

2015/07/21(火)(五十嵐太郎)

伝説の洋画家たち 二科100年展

会期:2015/07/18~2015/09/06

東京都美術館[東京都]

1914年に第1回が開かれた二科展の100回目を記念し、約1世紀の歩みを振り返る展覧会。毎年1回開いてりゃ今年102回目だけど、戦争で2回お休みしたからね。いやー二科といってバカにしちゃあいけませんなあ。とくに戦前期のなんと自由で生き生きとしたこと。第1回展の二科賞を受賞した十亀広太郎の《顔》なんか補色を大胆に使ってるし、第2回に首を吊った老人、第3回に行き倒れを描いた石井鶴三も暗いテーマにもかかわらず二科賞を受けている。その後もキュビスムと未来派を折衷させたような東郷青児をはじめ、萬鉄五郎、岸田劉生、小出楢重、古賀春江、神原泰、佐伯祐三らによる清新な作品が続く。思わず足を止めたのは、34年の第21回に出品された藤田嗣治、宮本三郎、向井潤吉の作品の前。この3人、ご存知のように後に戦争画のスターになる画家たちだが、その3人をひとつのコーナーに囲い込んで見せるというのもなんか意図的だなあ。なかでも森のなかで角突き合わせる動物を描いた向井の《争へる鹿》は、密林のなかを行軍する日本兵を捉えた《マユ山壁を衝く》を彷彿させるものがある。軍靴の近づく30年代末からは松本竣介や、前衛の集まる九室会の吉原治良や桂ゆきらが出品を重ね、まだ自由な空気が伝わってくる。それに比べて敗戦後はどうだろう。わずかに北川民次と岡本太郎が気を吐いてるくらいで、そのふたりもマンネリに陥っていく。美術界をリードした戦前に比して、戦後の二科の弱体化は数字にも明らかだ。全132点のうち、戦前(戦中)30年間の作品が118点を占めるのに対し、戦後70年間の作品はわずか14点。もっとも新しい作品は北川民次の70年の作品で、それ以後45年間は1点も出ていない。このような戦後の美術界への影響力の低下に反比例して、ハデな前夜祭や仮装行列で展覧会を盛り上げたり、芸能人やスポーツ選手の作品を入選させてマスコミを騒がせたりするようになる。作品とは関係ないところで話題を提供するしか生き残れなくなったようだ。いっそ続編として、70年代以降の芸能人だけの作品を集めた展覧会を企画したらどうだろう。

2015/07/23(木)(村田真)

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《写真》見えるもの/見えないもの#02

会期:2015/07/13~2015/08/01

東京藝術大学大学美術館陳列館[東京都]

佐藤時啓、鈴木理策、榮榮&映里ら13組の出品。佐藤は、3.11の被災地の南三陸や女川を大型カメラやピンホールカメラでストレートに捉えている。永井文仁は都市の写真集を丸めて撮影することで画像を歪めてるが、それがまるで津波に襲われた街のように見えるのは偶然か。野村浩は展示室にテントを立てている。なかに入ると10秒ごとにLED電灯が明滅し、床にばらまかれてるコノハムシ型の紙片の影が下に焼きつく仕掛け。これは写真の原理だけど、原爆で壁に焼きついた人影を思い出すのはぼくだけか。今回は社会へのまなざしもテーマのひとつになっている。

2015/07/23(木)(村田真)

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