2019年07月15日号
次回8月1日更新予定

artscapeレビュー

2015年02月15日号のレビュー/プレビュー

黄金町通路:再訪

会期:2015/01/10~2015/01/25

高架下スタジオ・サイトAギャラリー[神奈川県]

黄金町にはかつての売春宿を改装したアーティスト・イン・レジデンスがひしめく。そこで滞在・制作したアーティストたちの作品を通して、レジデンスプログラムの意義を問い直そうという趣旨。アーティストから見れば黄金町は通過点のひとつだから、タイトルは「黄金町通路」に。出品は加藤翼、和田昌宏、韓国のユ・ソラ、インドネシアのヤヤ・スンら7人で、それぞれ新作や滞在中のドキュメントなどを出している。なかでも目を引くのが吉野ももの襖絵。4枚の襖に透視図法で襖がずっと奥まで続いているように描いている。これをたんなるイリュージョン・アートとして片づけるのはもったいない。襖は日本では(日本にしかないか)絵の支持体のひとつであり、その襖に襖を描くという自己言及的な作品であり、もっといえば襖という字に隠れてる「奥」を視覚的に感じさせる作品でもある。その吉野が描いた黄金町の壁画は昨年のバザールの前に消され、ベトナムから来たライヤー・ベンが新たにグラフィティ風の壁画を制作。その制作過程をコマ撮りした映像もおもしろい。

2015/01/22(木)(村田真)

小林亮介 展「森へ」

会期:2014/12/20~2015/01/25

名古屋造形大学黄金町サテライトスタジオ[神奈川県]

森を撮った幻想的な風景写真。のように見えるが、よく見るとどこか不自然。写真の下には「霧の背後に樹影が見えた。森の向こうにはまた森が続いているらしい」とか「幼い頃、限りなく続く山並みを画面の隅々まで描いた」とか「夢から覚めてまた夢の森を歩く。音は無い」といった詩のようなタイトルが記されている。これらの詩を読み上げた音声波形を森のかたちに合成したのが、この風景写真のように見えるデジタルプリントなんだそうだ。小林は30年以上も前に、たしか緑色の森のようなインスタレーションを神田の画廊で発表していた。いい作家だなと目をつけていたから覚えていたのだが、その後ドイツに留学し、以来30年ほど消息を聞かなかった。それが昨年、黄金町のY氏邸で遭遇。なんと名古屋造形大学の学長になっていた。作品は大きく変わったけど、森のテーマは一貫している。

2015/01/22(木)(村田真)

京都国立博物館 平成知新館

京都国立博物館[京都府]

京都国立博物館にて、谷口吉生が設計した建築群を見る。まず最初に出迎える現在のエントランスとカフェは、ある意味で本家ヨーロッパ以上に美しいモダニズムだが、平成知新館(2013)も手前に水面をおく、必勝パターンの空間デザインである。室内にもいい感じで、ゆらめく光のリフレクションが入り、ルイス・カーンのキンベル美術館を想起させる。展示空間は、互い違いに彫刻や絵画の吹抜けを積む明快な構成だ。谷口建築としての新発見はなかったが、安定のクオリティと言えるだろう。ただ、東京の国立博物館は、所蔵品の撮影OKなのに、なぜここはNGなのか。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

国宝 蓮華王院 三十三間堂

[京都府]

向かいの三十三間堂を久しぶりに拝観した。建築史でも重要な作品だが、多くの来場者にとっては室内で千体の千手観音を見るのが主な目的だから、常設のインスタレーションがある一種の美術館のような空間といえるかもしれない。超横長の平面に、ひな壇をつくり、ずらりと千手観音を並べるわけだが、内部では一望できる視点はない。鑑賞者も横に移動しながら、たどっていく空間の体験が興味深い。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

京都精華大学デザイン学部建築学科 4年生卒業制作講評会

会期:2015/01/23

京都精華大学[京都府]

京都精華大にて、卒制のゲストジュアラーをつとめる。今回もバラエティに富む作品群だった。最優秀賞は松村亜沙子さんによる個人的な記憶の空間を集積させた小学校、優秀賞は鈴野一史くんによる干上がった田んぼの地割れの建築化プロジェクト、北牧千佳さんの円と曲線による幼稚園、そしてインテリア賞は伊藤めぐみさんのポータブル家具と、妥当に決定する。そこで五十嵐賞は、金沙紀さんの文字を建築化するプロジェクトに贈る。

2015/01/23(金)(五十嵐太郎)

2015年02月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ