2020年07月01日号
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artscapeレビュー

2015年02月15日号のレビュー/プレビュー

これからの、未来の途中

会期:2015/01/13~2015/02/28

京都工芸繊維大学 美術工芸資料館[京都府]

最初に現れる吉田奈々の、織物で携行品を作った作品は、ネガティブなテーマも「糸を紡ぎ、織る」ことで明るいものになるという発想が心に残った。「織る」ことは反復作業と考えさらに、崇高さまで見せてくれる転換は鮮やか。そのほかに、高野友実の銀塩写真で折り鶴を折った作品や、来田広大の京都のモノクロームドローイングを堪能。
なお、そのほかの出品作家は荒井理行、門田訓和、嶋春香、前谷開、谷穹、牧山智恵、石井聖己、本田亨一。2013年から続く、同大学による若手作家育成のプログラムで、公募審査からの今年のラインアップも魅力的。

2015/01/26(月)(松永大地)

表現の不自由展──消されたものたち

会期:2015/01/18~2015/02/01

ギャラリー古藤[東京都]

最近、フランスの風刺新聞「シャルリー・エブド」襲撃事件に象徴されるように、表現の自由が問われる事件が相次いでいる。日本でも昨年、ろくでなし子や鷹野隆大の「作品」が「ワイセツ」の疑いで問題になった。この「表現の不自由展」は3年前、新宿ニコンサロンで予定されていた元慰安婦を題材にした安世鴻の写真展が中止を通告される事件があったが、その抗議運動に端を発するものだという。そのせいか、紹介される作品は安の写真をはじめ、駐韓日本大使館前に設置されたことで知られるキム・ソギョン&キム・ウンソンの慰安婦像、昭和天皇の肖像を使った山下菊二のコラージュや大浦信行の版画シリーズなど、慰安婦問題や天皇という禁忌に触れたために、つまり政治的な理由で問題化した作品が多い。ワイセツの場合はよくも悪くも見ればわかるが、ここに出ている作品たちはいったいなにが問題なのか、なぜこれを見せたらいけないのか、理解しにくい。むしろ、この程度のもの(といったら失礼だが)を規制することで問題が表面化し、それがマスコミに取り上げられれば世間に広まり、作者の宣伝に一役買うことになるだろう。検閲がなければみんな見過ごしていたのに、検閲されたことで逆に広く知られるようになることだってあるのだ。

2015/01/26(月)(村田真)

藪の中

会期:2015/01/23~2015/02/11

ギャルリ・オーブ[京都府]

まずは、展示空間の斜めに置かれた彦坂敏昭氏のモニターを目の前に、奥を見た展示風景、作品の配置がとても印象的で、だだっ広くのっぺりとした印象を与えがちなギャルリ・オーブに切り込んでいて、そのバランスにうっとり。壁ばかりの作品だけに、立体の配置が良かった。
ある出来事をめぐって目撃者と当事者の証言が食い違うという芥川龍之介の『藪の中』から着想を得たというこの作品展。荒木悠作品は映像故、ほかとは位置的に離れているが、そのほかの作家の作品は、グラデーションのように関連が見えるようで面白い。この場合の「ある出来事」としての共通のテーマは、出品作家だけが知っていて、関連イベントによって明らかにされるとあるが、それには参加できず。ウェブ上などで広くアーカイブされることを期待して。

2015/01/27(火)(松永大地)

LUMIX MEETS/JAPANESE PHOTOGRAPHERS #2

会期:2015/01/21~2015/01/29

IMA CONCEPT STORE[東京都]

六本木アクシスの前に、加納俊輔の作品をポスターに使った展覧会の告知が出ていたので入ってみた。ここは写真季刊誌『IMA』と同じ母体で、フォトギャラリー、カフェ、ブックショップを備えたスペース。同展は日本の若手写真家を支援するもので、パナソニックが特別協賛している。出品は加納のほか、Kosuke、佐久間里美、水谷吉法、山崎雄策、山本渉の6人だが、加納以外は知らない(加納も作品を知ってるだけだが)。加納は、たとえば板に貼った写真を撮影し、それをまた板に貼って写真に撮り……といったトリッキーでありながらコンセプチュアルな作品をつくっているアーティストで、たしかに写真メディアを用いているけれど、支持体は木の板や大理石だったりするので、扱いとしては美術ジャンルだと思っていた。これまで画廊や美術館で何度か見かけたが、写真界でもこうした手の込んだコンセプチュアル写真が、ふつうのストレート写真と一緒に並ぶこともあるんだ。

2015/01/28(木)(村田真)

新鋭選抜展

会期:2015/01/24~2015/02/08

京都文化博物館[京都府]

福山竜助の黒のような濃い茶色のような色合いのペインティングは、線一本一本が力強く、そしてゆがみやしなやかさも持ち合わせていて、そこには物語を含む気配がある。本や雑誌等でテキストの挿絵にもとてもよく合う気がする。ここではこの作品を見られただけで、とても満足した気分になった。いつか個展でまとまって見てみたい。

2015/01/28(水)(松永大地)

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