2020年07月01日号
次回7月15日更新予定

artscapeレビュー

2015年02月15日号のレビュー/プレビュー

高松次郎ミステリーズ

会期:2014/12/02~2015/03/01

東京国立近代美術館 企画展ギャラリー[東京都]

体験、実感できる楽しい影ラボを導入としながら、彼の作品を回顧する試みだ。一連の流れを見ると、あまり深く関係を考えていなかった、影の作品と透視図法の作品のつながりがよくわかる。その後、高松はモノの関係性の時期を経て、晩年は絵画にシフトする。彼の絵を建築の図面として見ると興味深い。段差をのぼって、会場を一望できる展示のデザインは、トラフが担当しており、これも良い。


影ラボ風景

2015/01/31(土)(五十嵐太郎)

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奈良原一高 王国

会期:2014/11/18~2015/03/01

東京国立近代美術館 ギャラリー4[東京都]

メインのセレクションは、2014年の横浜トリエンナーレとかぶるが、常設の強みで他のエリアも活用しながら、デビュー作の「人間の土地」(軍艦島や、桜島の噴火で埋もれた集落を撮影したもの)、マンハッタンの十字路シリーズ、彼と親交のあった作家などもあわせて紹介し、立体的に鑑賞できるのが嬉しい。常設では、藤田嗣治の戦争画を展示中だった。ある意味で彼のピークと思う。

2015/01/31(土)(五十嵐太郎)

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切符を持たない旅

会期:2015/01/23~2015/02/01

ボーダレス・アートミュージアムNO-MA[滋賀県]

滋賀のアール・ブリュット・コレクションを美術家の木藤純子、演出家の桑折現が演出するという試み。昭和初期の町屋を改装したボーダレス・アートミュージアムNO-MAでは、これまでにさまざまにアール・ブリュット作品が展示されてきた場所であり、展示内容も馴染みの光景ではあったはず。私も何度か見ているが、展示の手法自体はオーソドックスなものとなっていたが、そこに、その場所のもつ特性や個性を二割増にして、体験自体の表面をほんのりと上塗りするのが、策士・木藤純子のテイストなのだ。旅へ誘う船や電車、バスといったモチーフの作品の配置や、アニメーション+サウンド(ともに今回のための制作)など。加えて窓に薄い布をはって光量を調整。柔らかい光を室内に回していたが、この日の天気は雪。降る雪の景色がまたささやかな彩りを加えていた。
奥にある蔵では、小さな照明を時間でON/OFF、鑑賞者の意図とは別に作品の可視時間を調節されていたが、一日の時間的な移ろいや、自然界での光の変化のよう。10分ぐらいでは暗がりに目が慣れず、絵自体をしっかりととらえることは出来なかったが。
作品自体の特徴に焦点が当てられることの多い、アール・ブリュット作品への過度な演出をしないことで浮き上がる、よりニュートラルな目線への試みだったと思う。

2015/01/31(土)(松永大地)

TWSエマージング2014

会期:2015/01/10~2015/02/01

トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]

3人の展示だが、炭田紗季の作品が目を引く。窓から富士山の見える旅館の壁にウォーホルの絵が飾ってあったり、檜風呂の向こうに教会の尖塔と富士山に似た火山が見えたり、山車にリオのカーニバルの半裸娘が乗っていたり、山車からサンタさんがプレゼントを配ったり……。とにかく日本の伝統的なるものと欧米的なるものを強引に共存させた絵。これは日本の現代美術のひとつの典型をカリカチュアライズしたものともいえる。「私は日本人である自分が嫌いで、好きだ」という作者のコメントを借りれば、私はこういう作品が嫌いで、好きだ。

2015/01/31(土)(村田真)

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カタログ&ブックス│2015年02月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

アゲインスト・リテラシー --グラフィティ文化論 Against Literacy: On Graffiti Culture

著者:大山エンリコイサム
企画・編集:メディア・デザイン研究所
アートディレクション:有山達也
デザイン:中島美佳(アリヤマデザインストア)
発行:LIXIL出版
発行日:2015年1月31日
価格:2,700円(税別)
サイズ:A5変形、256頁

美術作家・大山エンリコイサムによる、日本初の本格的なグラフィティ文化論。
4章で構成され、1章ではバンクシー、BNE、ラメルジーほか8人の重要な作家を論じる。2章では、20世紀初頭のニューヨークを舞台にグラフィティ文化の成り立ちを探り、落書きと都市の文化史を綴る。3章は舞台を日本に移し、グラフィティ文化の受容と展開の事例として現代日本を文化論の点から考察し、4章では美術批評の文脈から現代のグラフィティ文化を論じる。 本書は、グラフィティ文化の入門書、批評の書であり、美術家である著者のステートメントでもある。
グラフィティ文化と現代美術の接点から導出される「文脈的なリテラシー(フリード)」「感性的なリテラシー(ソンタグ)」というキーワードを手がかりに、さまざまな文脈やリテラシーによって複雑に編成された現代の文化状況のなかで、硬直する思考に抵抗(against)し、しなやかな感性を発揮するためのガイド。[出版社サイトより]


岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ

著者:岡崎京子
編集:岸本洋和
デザイン:祖父江慎+鯉沼恵一(コズフィッシュ)
発行:平凡社
発行日:2015年1月30日
価格:2,300円(税別)
サイズ:260 ×182 ×22mm、394頁

約400ページ、原画多数掲載。幻の名作「平成枯れすすき」をはじめ、単行本未収録作品8作も収録。一人の少女=マンガ家が見つめたあの時代、その行方。300点以上の原画をはじめ、学生時代のイラストやスケッチ、掲載誌の数々で見る、ついに実現した初の大規模展覧会の公式カタログ。[本書帯より]


TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三

監修:岸和郎、原研哉
編著者:豊川斎赫
ブック・エディトリアルデザイン:原研哉+中村晋平(日本デザインセンター)
発行:TOTO出版
発行日:2015年1月22日
価格:15,000円(税別)
サイズ:310 × 270mm、252頁

TOTO出版創設25周年記念出版。本書では、丹下健三が、処女作である「広島平和会館原爆記念陳列館」(1952年)を手掛けていた1940年代後半から初期代表作のひとつである「香川県庁舎」(1958年)が完成するまでの10年間(1949~59年)に、丹下自らが撮影した35mmフィルムのコンタクトシートを通して、丹下健三の建築家としての初期像を探ります。[出版社サイトより]

2015/02/03(火)(artscape編集部)

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