2019年10月15日号
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artscapeレビュー

2015年02月15日号のレビュー/プレビュー

wassa モノローグ

会期:2015/01/08~2015/01/30

ondo[大阪府]

余分なものを描かずに、シンプルに骨太になっていく、wassaのここ数年の変化というか、プロセスが結実している。絵画の「しわ」のようなものが増えていくともいうような。立体作品の腰掛ける人物を購入。やけに「小さい」のも魅力。

2015/01/14(水)(松永大地)

開発好明「日の出・月の出 印象」

会期:2014/12/19~2015/01/17

ギャラリー・ハシモト[東京都]

最初の部屋の床には青地に白い星を描いたパネルを敷きつめ、壁3面には黒地に白い円が左下から出て右下に入るまでを描いた9枚のキャンバスを展示。真ん中のキャンバスはちょうど画面中央に正円が来て、日の丸のネガのようにも見える。奥の部屋も同様、床には赤と白のストライプ、壁には白地に赤い円を描いた9枚のキャンバスを並べている。こちらは間違いなく日の丸。最初の黒地に白丸を「月」を表わすイスラム旗、床のパターンを星条旗と見なせば、日本人も犠牲になった殺戮集団「イスラム国」問題が想起される。が、日本人の人質事件が表面化するのは個展終了後のこと。開発は予言者か。

2015/01/14(水)(村田真)

パランプセスト──重ね書きされた記憶/記憶の重ね書き vol.6 西原功織

会期:2015/01/10~2015/02/07

gallery αM[東京都]

壁の片面には趣の異なる抽象の大作が数点、もう片面には縦8段、横16列、計128枚の具象画が並んでいる。具象といっても、描かれているのは自動車、戦闘シーン、食べ物など多様だが、いずれもフラットな描写で、なかにはフレームが描かれているものもあり、写真やネットから拝借したイメージのようだ。これら「具象画」の1点1点にさほど意味(価値)があるとは思えないが、こうして壁にびっしり並べることで向かい合う「抽象画」との差異が曖昧になり、抽象も具象も無意味になってしまう。

2015/01/14(水)(村田真)

神藏美子『たまきはる』

発行所:リトルモア

発行日:2015年2月8日

まさに「私小説/私写真」。神藏美子の前作『たまもの』(筑摩書房、2002年)は現在の夫「末井さん」と前夫の「坪ちゃん」との不思議な「三角関係」を描ききった作品だが、それから12年かけてようやく続編というべき『たまきはる』が刊行された。それだけの時間を費やしたということは、神藏が「私小説/私写真」の魔物に魅入られてしまったということだろうか。「あとがき」によれば「『たまきはる』に向かうことが、苦しくて苦しくて、逃れられない牢獄のように感じて、何年も過ごしていた」ということだが、「私」と向き合うことは、その毒を全身に浴び続けることでもあるのが、写真からもテキストからも伝わってきた。
とはいえ、『たまきはる』は「読ませる」写真集としてしっかりとでき上がっていた。何よりも夫・末井昭をはじめとして、両親、イエスの方舟の千石剛賢、作家の田中小実昌、アートディレクターの野田凪、ロックバンド、銀杏BOYZの「ミネタくん」、障害者プロレスの「がっちゃん」といった、生と死の間を漂う登場人物たちの悲哀と輝きが、決して押し付けがましくなく描かれている。特に、学生時代に撮影したという寺山修司のポートレートは驚きだった。「こんな写真を撮らせていたのか」というショックがある。写真も文章も、時間軸を無視して行きつ戻りつするのだが、そこにむしろ生活と経験に裏打ちされたリアリティがあるように感じた。あと何年かかるのかはわからないが、ぜひ撮り続け、書き続けて次作をまとめてほしいものだ。
なお、写真集にあわせてNADiff Galleryで「たまきはる──父の死」展が開催された(2014年12月12日~2015年1月30日)。こちらは、映画の録音技師だった父親の死の前後の写真を中心に構成している。

2015/01/15(木)(飯沢耕太郎)

東京駅開業百年記念 東京駅100年の記憶

会期:2014/12/13~2015/03/01

東京ステーションギャラリー[東京都]

資料、模型、絵画、映像、実物、インスタレーションなどを駆使して、その歴史を振り返る。東京駅周辺の変化を示す3つのジオラマを比較すると、改めてその激変ぶりに驚かされる。鈴木博之先生が最終講義の最後に、空から見る東京駅の画像をだして、中心部がこんなに変わった都市は他にないと指摘していたのを思いだす。ともあれ、やはり辰野金吾のデザインはあまりこなれていない気がする(西欧の様式建築に比べて)。このエリアだと、村野藤吾の銀行が一番カッコいい。また展覧会では、もとのドームを復元したばかりなので、軽んじられているかもしれないが、戦後の姿をもたらした設計の経緯をもう少し詳しく知りたかった。


東京駅模型

2015/01/15(木)(五十嵐太郎)

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