artscapeレビュー

2011年01月15日号のレビュー/プレビュー

下平千夏 展「IMPLOSION POINT」

会期:2010/12/04~2010/12/25

INAXギャラリー2[東京都]

ギャラリーに入るとまず異臭に気づく。なんだろうこの匂い。作品は天井、壁、床から奥の1点に向かってヒモのようなものがたくさん伸びて、ラッパのような横倒しの四角錐をかたちづくっている。よく見るとこのヒモは輪ゴムをつなげたもので、異臭はこの輪ゴムの匂いだった。せっかく輪ゴムのような可変的な素材を使うんなら、もっとありえないかたちをつくったらどうだろう。匂いを忘れさせるくらいの。

2010/12/17(金)(村田真)

チャリティー小品展「ART for Two」

会期:2010/12/13~2010/12/25

ギャラリイK[東京都]

世界の子どもを支援するNPO「ワールド・ビジョン・ジャパン」へ寄付するチャリティ展。作品はすべて縦横10センチ程度の額つきフォーマットに統一され、お値段も3,500円均一とオトク。出品は建畠朔弥、内海信彦、加藤崇ら70人。これなら買えそうと思ったが、すでに8割方予約済みだった。しかし全部売れても20万円ちょっとにしかならないのだから、建畠の小品1点売ったほうが手っ取り早いともいえるが。

2010/12/17(金)(村田真)

「西野達 別名 大津達 別名 西野達郎 別名 西野竜郎」西野達作品集出版記念展

会期:2010/12/17~2011/01/08

アラタニウラノ[東京都]

西野の作品集は見ていて飽きることがない。公共のモニュメントをプライベートな空間に取り込むという作品そのもののインパクトもさることながら、そんなことを思いつく西野の発想とともに、それを許可する行政機関の柔軟な対応にも感動してしまう。今回の展示の中心は、東京タワーの写真にマジックインキで奇天烈なプランを描いたドローイング。東京タワーの隣に通天閣をもってきたり、東京タワーをふたつ並べたり、とんでもない発想を見せているが、恐ろしいのは西野の場合これらが実現しないとは限らないことだ。といっても西野には、クリスト&ジャンヌ=クロードのようにドローイングをせっせと描いて売って資金稼ぎをするみたいな求道者的なところはなく、実現しないで当たり前、実現すればもうけものくらいの軽快さが身上だ。思わず衝動買い。

2010/12/17(金)(村田真)

鎌谷徹太郎「proliferation-flower」

会期:2010/12/03~2010/12/23

Gallery Cellar[東京都]

案内状は画面いっぱいに赤や青や黄色の花々で覆われ、とても美しい。しかしこれはいったい写真なのか絵なのか判別しがたいので見に行ったら、そのどちらでもあり、どちらでもなかった。つまり花の写真をベースに絵具でなぞったもので、しかもその花も作者自身がつくった造花だというのだ。かなり手の込んだ作品。

2010/12/17(金)(村田真)

滝波重人 展「汽水域──向こうの正面」

会期:2010/12/06~2010/12/22

ギャラリーなつか[東京都]

100号ほどのキャンヴァス6枚を縦2列、横3列につないで大画面をつくっている。遠目には、激しいタッチと強烈な色彩のなかから無数の垂直線と水平線が交差しているように見える。近寄って見れば、垂直方向の線は絵具のしたたりが流れた跡、水平方向の線は絵具を平筆で横に伸ばしたカスレだった。絵画の醍醐味を堪能させてくれる大作。

2010/12/17(金)(村田真)

2011年01月15日号の
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