artscapeレビュー

2011年12月15日号のレビュー/プレビュー

平川恒太「豊かな絵画と、豊かな世界」

会期:2011/10/14~2011/11/06

バンビナートギャラリー[東京都]

今日は8歳の息子とその母と一緒にガラクタをかついで3331のかえっこバザールへ。ついでに3331内のギャラリーを訪問する。まずはバンビナート。ここは若い作家が中心で、だいたい物語性の強いカラフルな絵画が多い。たまたまぼくが訪れたときそうだっただけかもしれないが。平川も物語性の強い作品が多く、今回は小さな水玉やキラキラ輝くラメなどを用いて、着ぐるみをかぶった人のいる風景を描いている。なんかよくわからないけど意味深だなあ。このぬいぐるみは鹿とキツネの2種類の実物があって、これを着てパフォーマンスもするのだという。ほかにも電車のなかに絵を持ち込んで乗客に見せる「電車展」を開いたり、千葉県鴨川市のお寺にツアーする「アートが山をのぼること」を企画したり、なかなかおもしろい動きをしているアーティストだ。

2011/11/05(土)(村田真)

内藤礼 展

会期:2011/09/16~2011/12/04

佐賀町アーカイブ[東京都]

次、いまや伝説の佐賀町エキジビット・スペース(1983-2000)の活動を検証する佐賀町アーカイブへ。内藤はちょうど20年前の1991年に佐賀町で「地上にひとつの場所を」を開催。そのときのドローイングを中心に展示している。それにしても90年前後の佐賀町はすごかったなあ。森村泰昌に杉本博司、堂本右美、それにキーファーまで展覧会やってたからな。バブルだったから実現できた面はあったにしろ、主宰者の小池一子さんの洞察力と実行力にはあらためて脱帽する。

2011/11/05(土)(村田真)

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正木美也子「五つの黒煙、三つの竜巻」

会期:2011/10/28~2011/11/20

アイランド・メディウム[東京都]

2階のアイランドへ。点描画が何点も並んでいる。もちろん点描画など珍しくもないので、ここではなにが描かれているかが重要だ。まるで色盲検査みたいな色の点々を見ていると、なにか不穏なイメージが浮かび上がってくる。ここ2年ほどのあいだに世界各地で起こった事件や事故の報道写真をもとに描いているらしい。煙が上がっているのはアフガニスタン、リビア、韓国など。点描であるのはおそらく、テレビの走査線であれ印刷の網点であれ、これらがメディアを通したイメージであることを強調するための手法だろう。でもスーラみたいに根をつめすぎて早死にしないように。

2011/11/05(土)(村田真)

『カオス*イグザイル』(カオス*ラウンジ)

会期:2011/10/22~2011/11/06

アキバナビスペースほか[東京都]

なぜか演劇祭の「フェスティバル/トーキョー」にカオス*ラウンジが入ってるので、秋葉原の第一会場に行く。いったいなにをやるんだろうと思ったら、そこはゲームセンター。クレーンゲームで玉を獲れば500円の入場料がタダになるというので、息子が2個ゲット、ぼくは1個、息子の母は0個。玉を会員証と交換して、歩いて5分ほどの第2会場へ。なんの変哲もない小さな場末のビルだが、壁に少女マンガチックなドローイングが展示してあるので間違いない。エレベータが使えないので階段で4階へ。途中3階には「あきば女子寮」なる部屋があり、のぞくと女の子がいるので思わず入りたくなるが、そこは会場ではないらしい。4階は左右の壁全面に鏡が張られ、正面、天井、床に少女マンガをモチーフにしたドロドロ状のドローイングが描かれている。5階には透明のテント内にパソコンやディスク、ペットボトルなどが散乱し、隣の部屋には映像が流れている。ビルの風情も手伝っておそろしく暗い内向的インスタレーションだ。帰りに階段で降りるときに気がついた。壁に貼ってあるマンガチックなドローイングはカオス*ラウンジの作品ではなく、あきば女子寮のものであることを。そして、ビルのなかにカオス*ラウンジのインスタレーションがあるのではなく、女子寮もドローイングも含めて、このビル全体がカオス*ラウンジのインスタレーションに採り込まれていたことを。まあおじさんとしては秋葉原という劇場都市の舞台裏をかいま見られただけでもワクワクしたわけで。

2011/11/05(土)(村田真)

プレビュー:上村亮太 展「いまいるあたり」

会期:2011/12/17~2011/12/27

gallery shimada deux[兵庫県]

ギャラリーのサイトに掲載されたインフォメーションには、小さな作品が並ぶこじんまりとした展覧会とあるが、DMに使われていた作品《シマウマの森》が見てみたい。目の上に水色のアザのようなものがある女性の肖像《青いまぶた》や、燃えている紙を持って立つ女性が描かれた《叫ぶ声》シリーズなど、毎回どこか“つっかえる”ような印象が想像を掻き立てる上村亮太の新作展。

2011/11/05(土)(酒井千穂)

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