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2014年12月15日号のレビュー/プレビュー

東北大学工学部講義「建築設計CI」 最終講評会

会期:2014/11/22

東北大学青葉山キャンパス人間・環境系教育研究棟[宮城県]

3年生の設計課題「金沢21世紀美術館補完計画」が終了した。開館後、想定をはるかに上回る来場者を迎える施設をサポートする機能を提案するもの。完全な形態の円を使う傑作に対し、どのような態度をとるか、既存の文脈をどう読み、それにどうデザインで応答するかが鍵である。今回はとくに、幾何学をベースとした建築的な形態をつくるブラジルからの留学生二名と、建築を消去しようとする日本人の違いも興味深かった。

2014/11/22(土)(五十嵐太郎)

荒木経惟『道』

発行所:河出書房新社

発行日:2014年10月30日

2014年4月~6月に豊田市美術館で開催された荒木経惟「往生写集──顔・空景・道」で発表された新作「道路」は、心動かされる作品だった。2011年末に転居したマンションのバルコニーから、真下の道路を毎朝撮り続ける。それだけの写真が淡々と並んでいるのだが、背筋が凍るような凄みを感じる。生と死を含む人間界の出来事のすべてが、その縦長の画面にすべて写り込んでいるように感じてしまうのだ。森羅万象を自在に呼び込んでいく、荒木の写真家としての能力がそこに遺憾なく発揮されているといえるだろう。
その「道路」の連作が、写真集として刊行された。『道』には108枚の写真がおさめられている。いうまでもなく「除夜の鐘」の数であり、このところ荒木の作品に色濃くあらわれてきている仏教的な無常観からくるものだろう。ちなみに、彼の実質的なデビュー作である写真集『センチメンタルな旅』(1971年)も108枚の写真で構成されていた。特筆すべきは町口覚によるブックデザインで、最初と最後の2枚以外はほぼ同じ構図の写真がずっと続く縛りの多いシリーズを、「40頁の観音開き」を巧みに使うことで、見事に写真集としてまとめている。「観音開き」で写真の大きさを変えながら、108枚の写真を最後まで見せきっていくのだ。
それにしても、途中に挟み込まれている何枚かのブレた写真が何とも怖い。その瞬間に、霊的な存在がふっと通り過ぎたような気配が漂っている。

2014/11/23(日)(飯沢耕太郎)

インターステラー

『インターステラー』(クリストファー・ノーラン監督)は凄かった。超越と進化では『2001年宇宙の旅』、父娘の関係では『コンタクト』に続く傑作である。宇宙の描写や砂塵が吹き荒れる風景は、大画面で鑑賞しないと意味がないという意味において映画的な作品だ。社会背景の説明を削ぎ、ハードなSF映画としてのヴィジュアル表現も挑戦的だし、ドラマとしても申し分ない。なるほど、空間と時間の歪みや高次元の構造などは、クリストファー・ノーランが以前から手がけていたテーマである。ほかにも種の存続、ブラックホールの彼方など、見所が多い。

2014/11/23(日)(五十嵐太郎)

第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014

会期:2014/09/06~2014/11/30

福岡アジア美術館全館、周辺地域[福岡県]

福岡アジア美術トリエンナーレ2014を見る。紹介するアーティストのエリアを特化したことと、5回継続してきた厚みを感じる内容だった。全体としては、純粋な視覚系よりも、社会と関係する作品が多い。日本の現代美術やサブカルチャーが、アジアに影響を与えている作品も少なくないように感じた。また今年から始めた特別部門「モンゴル画の新時代」が想像以上に興味深い。これが、この10年の動向なら、確かに大きな変化である。


左: ルー・ヤン《子宮戦士》  右:ガンボルディン・ゲレルフー《欲望》(モンゴル画)

2014/11/24(月)(五十嵐太郎)

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博多駅周辺

JR博多シティ、キャナルシティ博多ほか[福岡県]

博多駅周辺を歩く。震災後では初めてである。今風の再開発のJR博多シティはデカイが、そのスケール感にみあう空間のスペクタクルがもっと欲しい。屋上からの展望が気持ちがいい。キャナルシティ博多も、久しぶりに訪問した。ダイナミックに展開する迷宮的な空間の感覚が楽しい。これが登場した後、日本の商業系再開発は、猫も杓子もジャーディになったが、空間の体験としては、結局、これが一番良いのではないかと思う。

左:JR博多シティ 中央と右:キャナルシティ博多

記事左上:屋上から磯崎新の建築を見る

2014/11/25(火)(五十嵐太郎)

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