artscapeレビュー
2014年12月15日号のレビュー/プレビュー
五十嵐太郎×山崎亮×小野田泰明 鼎談「3.11以後の建築」
会期:2014/11/02
金沢21世紀美術館[石川県]
「3.11以後の建築」展のトーク・イベントを行う。まずゲストキュレーターの五十嵐×山崎亨からは展覧会の意図と概要、続いて計画学の小野田泰明からは被災地の複雑な現状と展望について語る。3名とも、3.11の災害を過度な断絶と捉えず、2011年以前から地方で進行していた傾向の明快な可視化が起きたとみなす。トークに東北の被災地の復興計画に現場で関わる人間が参加したことで、今回の展示を補強する内容となった。
2014/11/02(日)(五十嵐太郎)
特別展 ガウディ×井上雄彦 ─ シンクロする創造の源泉 ─
会期:2014/10/04~2014/11/05
金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA[石川県]
金沢21世紀美術館では、「特別展 ガウディ×井上雄彦 ─ シンクロする創造の源泉 ─」の巡回も開催中であり、ちょうど建築展がトリプルで重なっている希有な状態だった。その内容は思っていた以上に、漫画家の井上パートを控えめにしており、むしろアントニオ・ガウディの卒計から基本作、そしてサグラダ・ファミリア教会の建設の現状までを模型やドローイングなどで紹介する、入門編的な内容だった。
2014/11/02(日)(五十嵐太郎)
國府理 追悼展
会期:2014/10/19~2014/11/16
みんなのうえん[大阪府]
今年4月、個展開催中の会場にて不慮の事故で亡くなった國府理の追悼展が開催されていた。会場は、大阪市住之江区にある「北加賀屋みんなのうえん」という空き地を利用した都市農園。そんな場所があることも、直径4mのパラボラアンテナを使った國府の《Parabolic Farm》が2013年の秋からずっとここに設置されていたという事実も私は今回初めて知った。会場についてまず釘付けになったのは、その《Parabolic Farm》の様相。以前、個展など他の会場でも見たこの作品は、ここでは野菜やクローバーなど様々な植物が成育する土壌、完全に畑と化していた。私が訪れたのは日も傾き周囲の建物の影に包まれつつある午後だったのだが、そこに逞しく生い茂る力強く伸びるさまざまな野菜のありようが印象的で記憶に残る。農園に隣接する建物では生前描かれたスケッチやドローイング、国府が関わった近年のプロジェクトや、ここに作品が設置されるまでの作業の様子を撮影した記録写真などが展示されていた。どれをとっても今展の主催者やその他の関係者の追悼の念が温かく伝わってくる展示。見ることができてよかったとしみじみ感じた展覧会だった。
2014/11/03(酒井千穂)
生誕200年 ミレー展 ─ 愛しきものたちへのまなざし ─
会期:2014/11/01~2014/12/14
宮城県美術館[宮城県]
名古屋ボストン美術館で開催されたミレー展が、彼とバルビゾン派の状況をあわせて紹介したのに対し、これは彼個人の作品の軌跡をたどる。古典、ロココ風、ベラスケス、オランダ絵画など、途中彼がさまざまな影響を受けながら、農民画の作風を確立したことがわかり、興味深い。あまり知られていない、ミレーが描いた肖像画も多く紹介していたのも収穫だった。
2014/11/05(水)(五十嵐太郎)
ルツェルン・フェスティバル「アーク・ノヴァ」2014 in 仙台
会期:2014/11/01~2014/11/09
アーク・ノヴァ仙台会場[宮城県]
昨年松島で取材した磯崎新×カプーアの「アーク・ノヴァ」が、今年は仙台の勝山館隣で開催され、能舞台を鑑賞した。やはり、前は倉木麻衣が歌う舞台だったので、赤い心臓のような空間が鼓動を打つ感じとは、全然雰囲気が違う。空調が十分に効かないため、去年10月はまだ会場が暑かったが、11月になると、ちょうどいい。
2014/11/05(水)(五十嵐太郎)